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【菅政権考】首相、隠せぬ疲労 148日連続勤務 安倍氏上回る

菅義偉(すが・よしひで)首相が休んでいない。8月中旬の夏休み期間も新型コロナウイルスの会議に、九州・中国地方を中心に襲った大雨対応も加わり1日も休みを取ることがなかった。23日には安倍晋三前首相がコロナ対策に追われた「147日連続勤務」を上回り、疲労を隠せない場面も少なくない。長引くコロナ対策のほか、自身の再選がかかる自民党総裁選、衆院選と続く秋の政治決戦に備え、首相周辺からは「少しは休みを」との声があがるが、首相にその余裕はないようだ。

閣議に臨む菅義偉首相(中央)=20日午前、首相官邸(春名中撮影)
閣議に臨む菅義偉首相(中央)=20日午前、首相官邸(春名中撮影)

首相は12日から数日間は公務を最小限に減らし「お盆休み」の予定としていた。とはいえ、週末の休日はコロナ担当者の報告や民間人との面会を重ねるのが首相のスタイルとあって、丸1日の完全な休日を取ることはあまり想定されていなかった。

だが、13日には東京都で新型コロナの新規感染者数と重症者数がともに過去最多を更新。さらに、西日本を襲った大雨で関係閣僚会議の開催などの対応に追われた。

首相の夏休みといえば、安倍前首相は10日ほどの休暇を取るのが慣例で、山梨県鳴沢村の別荘で過ごすことが多く、閣僚や親しい知人らとゴルフや会食を楽しんだ。静養中はその後に控える内閣改造や党役員人事を構想するいい機会でもあったはずだ。

ただ、新型コロナ対応に追われた昨年の夏休み期間は、前半は午後から官邸入りして公務を行い、後半は病院で検診を受けたり私邸で終日過ごしたりして体を休めたが、体調不良が続き、8月28日に辞意を表明するに至った。

首相の動静を記録した産経新聞の「菅日誌」によると、首相は今年3月28日を最後に、丸1日の休みを取っておらず、今月22日で新型コロナ対応に追われた安倍前首相の147日連続勤務と並び、23日にはそれを上回る。

さらに首相に就任した昨年9月16日以降までさかのぼると丸1日の休みは3日しかない。自民党幹部からも「首相は疲れている。覇気がなかった」と心配する声があがる。

首相は官房長官時代、夏休みは数日取得し、東京都内のホテルに滞在、家族らと過ごすのが通例だったという。ただ、今年は「コロナに大雨もあったからずっと通常モード」(首相周辺)となっており、今後についても政府関係者は「政治の季節でもあり、夏休みはやはり厳しい」と話す。

政府高官は「首相の性格もある。この問題(コロナ)がずっと続いて(感染者が)増えたり減ったりしているから、それに対して『指示することに専念したい』と言っている。気持ちの上ではそういうことだ」と話す。

日々首相の動向を追う「総理番」から見ても、疲労が伝わってくる場面がいくつかあった。

新型コロナの感染者数が増加に転じた8月初旬、首相が「おはようございます」と官邸入りする際の声に張りがなかったり、目に力がなく、うつむき加減でゆっくり歩いたりする姿が散見されるようになった。

首相があいさつで原稿の一部を読み飛ばすミスがあった8月6日の広島市原爆死没者慰霊式・平和祈念式後に開かれた記者会見では、元気のなさに加え、不安な表情で周囲をきょろきょろと見まわし慌てた様子で手元の資料を確認するなど、自信を失っているようにも見受けられた。首相は「夏休みはほとんど取れていないが、体調は万全だ」と強調するが、身体だけではなく、心労も重なっているのは明らかだ。

首相は9月16日で就任から1年を迎える。就任時の記者会見で「国民のために働く内閣、そのことで国民の皆さんの期待に応えたい」と力強く語った。この1年、首相はまともな休みも取らず、ひたすら走り続けてきた。コロナ禍の安倍前首相も同じだ。だが、国家行政を運営し、自衛隊の最高指揮官である首相は常に適正、最善の判断を求められる。十分な時間は無理だろうが、時には休養も必要ではなかろうか。

(政治部 児玉佳子)


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