話の肖像画

    評論家・石平(27)事実無根の「石平スパイ説」

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    《本が売れない、読まれない「出版不況」が言われて久しい。こうした中でも毎月のように新刊を出している。インターネットでの人気も高い。ツイッターのフォロワー数は50万近くにも達している》

    「元中国人・現日本人」という特別な立ち位置や、常に「他にはない」視点で本を書いてきたことはすでに述べました。おかげさまで、定期的に出版の注文をもらうことができています。だけど、世の中の流行作家と比べれば、売れる部数は天と地の差がありますよ。

    まあ、これも繰り返しになりますが、本が売れるのはうれしい。だけど、僕が書く意味は、おカネや売れることだけではありませんからね。問題意識こそが重要なのです。

    原稿を書くスピードは速い方だと思いますね。1日で15枚(400字詰め原稿用紙換算)くらいは書けます。それよりも僕の場合は、資料や情報を集めることを徹底してやるので、そちらに時間がかかります。(身の危険があって)今は中国に行けないので、中国の動きや情報はインターネットで集めます。発表された公式情報を徹底して分析し、裏にある動きや当局の思惑を探っていきます。

    テーマが決まれば、それに関する文献を集め、これも徹底的に読む。こうして資料や情報収集ができれば、原稿は半分以上できたようなものですよ。

    《現在のテーマやジャンルは中国問題だけにとどまらない。朝鮮半島問題や日本人の精神から趣味の写真に関する本の出版まで…。対談本も多い》

    対談本は、わかりやすく読者に伝える、という意味でも、本の制作上、いち早く出来上がるという意味でも、メリットが多い。これまでも、人気作家の百田尚樹(ひゃくた・なおき)さんや、高橋洋一さん(前内閣官房参与)、門田隆将(りゅうしょう)さん(ノンフィクション作家)、韓国や台湾出身の評論家、呉善花(オ・ソンファ)さん、黄文雄(こう・ぶんゆう)さん…。たくさんの方々と対談をさせていただきました。

    今や、インターネット全盛時代です。その「時代の流れ」に逆らうことをしたとしても、意味がありません。

    ツイッターのフォロワーはどんどん増えています。毎日のように情報を更新していますが、すぐに反応が分かるのがネットの良い点でしょう。写真を撮ってアップすることも多いのですが、「イイね!」を返してくれるとうれしいですよ。

    《ただし、ネットの世界は〝もろ刃の剣〟でもある。「石平スパイ説」をネット上で流されたこともあった》

    スパイ説ですか? 今でも流されているようですよ。もちろん、事実無根。こう見えても僕は忙しい。仕事だけでなく、家族と過ごす時間も大切だし、趣味の時間も必要です。スパイ活動などしているヒマはありません(苦笑)。もしホントにスパイ活動をするならば、少なくとも東京に住まなきゃいけないでしょ。地方(奈良市)に住んでいて、どうやってスパイができますか?

    ネットのエゴサーチ(自分で自分に関する情報を探ること)はときどきやります。やはり、(本などの)反応は知りたいですから。もちろん、賛否両論がありますよ。ただし、「否」の意見でもあまり、僕が気にすることはありませんけどね。(聞き手 喜多由浩)

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