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【編集者のおすすめ】『新版 いっぱしの女』氷室冴子著 女性に寄り添う名著復刊

セクハラに遭うとげっそりします。できれば誰かに愚痴りたいけれど、それはそれでまた相手がげっそりするかもしれない。ひるむ自分にもがっかりします。女の身体を持ったがために面倒ばかり。暴れてすむなら暴れてやりたい、だがしかし――。

「いっぱしの女」(氷室冴子著、ちくま文庫)
「いっぱしの女」(氷室冴子著、ちくま文庫)

そんな気持ちに不思議と寄り添う名エッセーが復刊しました。

著者である氷室冴子は『なんて素敵にジャパネスク』『海がきこえる』ほか大人気作品を数多く生んだ小説家です。セクハラという言葉が登場し始めた頃に30歳を超えた彼女は、ある一章でこう語ります。

「私が私であるために受ける不利益は甘受できる。けれど、宿命的に与えられた性に限定して向けられる無記名の悪意は、その無記名性ゆえに、私を激しく傷つける」

「そうなの、そうそう!」と思わずうなずきたくなるものの、初版の刊行は平成4年。ということは、約30年が経ってなお、社会はあまり変わっていない?

軽やかな筆致でつづられたエピソードを読めば読むほど「女だから」こそ受けた痛みが伝わってくるのは衝撃的です。その一方で、「いっぱしの女」として生きる楽しみ、その幸福が確かにあふれていることも、大きな魅力になっています。女と言っても一枚岩ではありません。独身か既婚か、子持ちか否か、親は、仕事は? あれこれの問いに心のどこかが引き裂かれそうになったとき、試しに読んでみてください。

(ちくま文庫編集部 砂金有美)


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