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都内の人出「半減」遠く ワクチン接種進み「恐怖」薄れ?

新型コロナウイルスの感染拡大が続く中、東京都内の繁華街の人出が増加に転じ、政府の対策分科会が求める「5割削減」の達成にはほど遠い状態となっている。中高年層などで進むワクチン接種がコロナへの「恐怖心」を薄れさせ、人出減少を妨げている可能性があり、医療逼迫(ひっぱく)の実態など「正しく恐れる」ための情報発信の在り方が問われている。

4回目の緊急事態宣言発令(7月12日)前の同月前半と比べ、都内の人出5割削減の提言が示されたのは今月12日。システム会社「アグープ」が公表したスマートフォンの位置情報を基にした人出データから都内繁華街(渋谷センター街、銀座駅)の金曜と土曜の午後3時の人出を分析したところ、提言を達成できているとはいえない。

金曜は7月9日、土曜は7月10日の人出を100とした場合、直近の8月27日は渋谷81・6、銀座88・6、8月28日は渋谷72・5、銀座74・3。分科会の提言直後だった13日、14日と比べ、金曜の渋谷はやや減少したものの、それ以外はむしろ増加していた。

29日の都内の新規感染者は3081人だったが、8月に入り5000人前後が報告される日が多い。感染が拡大しても人出の減少につながらない背景について、一橋大の高久玲音(たかく・れお)准教授(医療経済学)は「重症化を防ぐワクチン接種が高齢者を中心に進み、コロナに対する人々の恐怖心が薄らいだことが影響している可能性がある」と推測する。

コロナへの恐怖心が感染予防行動の差に出ているとのデータもある。インターネット調査で全国の15~79歳の約2万人を感染を恐れている人と恐れていない人に分類し、昨年9月と今年2月の居酒屋利用率を比べたところ、いずれも感染を恐れていない人の方が3割以上高かった。調査結果を分析した高久氏は「ワクチン接種がさらに進み、コロナへの恐怖心に個人差が出てくる状況では、人々の行動抑制に頼る対応には限界がある」と指摘する。

筑波大の原田隆之教授(臨床心理学)も「経験の積み重ねで『恐怖心』は変化する。ワクチン接種で安心感を得るのは当然の心理だが、今の感染状況では感染防御をしなくてもよいことにはならない。今こそ『正しく恐れる』姿勢が必要ではないか」と訴える。

原田氏はコロナに感染した妊婦の早産問題などを例に挙げ、「感染者数などの代わり映えのないデータより、『物語』のあるメッセージの方が有効な場合もある。国民の心理状態、行動科学に基づいた対策と明確なビジョンの提示が求められる」と強調した。


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