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【朝晴れエッセー】滋賀の名産 鮒(ふな)寿司・8月30日

先日滋賀の実家からパック入りの市販の鮒寿司が送られてきた。「うれし~い」。思わず歓声を上げた。

鮒寿司は琵琶湖から取れる淡水魚の鮒を漬けて作る、滋賀の名産品。子供の頃はどこの家庭でも家で鮒を漬けた。

毎年鮒が取れる頃になると、魚屋さんが自転車で家々に売りに来る。「二貫目もらうわ」。父が言うと魚屋さんは天秤ばかりで重さを量り「おっきい鮒やで」と、どさっとかごの中に入れていってくれる。

父はその生きのいい鮒の腹を開いて塩を振り、白いご飯を詰めてたるの中に漬けていく。漬け終わると上にふたをして大きな石をどかんと乗せる。

何日かたつとたるの中から濁った水が上がってくる。父はその濁り水をバケツの水でザーッとかい出す。

あふれ出る濁り水の強烈な匂いに「わーっ!」と、子供たちはたまらず両手で鼻を押さえ一目散に外へ逃げる。

でも子供たちもやがてその匂いにだんだんとなじんでいき、鮒が漬かり上がる頃には「おいしそ~う」と目を輝かせる。

漬かった鮒寿司は母が身を薄く切ってお椀に入れ熱いお湯を注いでくれる。「うまーっ!」。柔らかい身、そしてそのスープの何と美味なこと。

特に冬、熱いスープをふうふうとさましながらすするとき、体もほこほこと温もって一層おいしく、子供たちは「おかわりっ」と母にお椀を差し出す。

幼い頃から鮒寿司とともに育った私は、県外に住む今もその味を忘れることはない。その夜、懐かしさとともに熱いお湯を注いで本当においしく頂いた。

中西博子(84) 兵庫県伊丹市


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