内閣府の食堂が「ケージフリー」の卵を導入

    内閣府などが入る中央合同庁舎8号館(東京都千代田区)の食堂が、政府機関としては初めて放し飼い(ケージフリー)で育てられた鶏の卵を食材に使い始めて注目を集めている。国内では複数の採卵鶏をケージ(かご)に収容して飼育するのが一般的だが、欧米諸国ではストレス軽減の観点からケージフリーの導入を進めている。

    8号館の食堂は8月10日から卵の調達先をケージフリーで鶏を飼育する「丸一養鶏場」(埼玉県寄居町)に切り替え、温泉卵や卵スープの提供を始めた。同養鶏場は鶏舎に止まり木や巣箱を備え、自由に動き回れる環境で育てているという。

    食堂を運営する給食大手「ニッコクトラスト」(東京都中央区)の担当者は「ケージフリーは近年、社会にも認知され始めた。動物福祉の考えが定着する契機にしたい」と説明。調達コストは2倍に膨れたが、差額分は同社が負担し、メニューの価格に変更はない。

    ケージ飼育は採卵作業を効率よく行えるなどのメリットがある一方、鶏の健康を害しているとの指摘もある。欧州連合(EU)は2027年までに採卵鶏などのケージ飼育を撤廃する方針で、米国でも同様の動きが進んでいる。日本では現在、鶏舎の9割以上がケージ飼育を採用しているといわれる。


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