朝晴れエッセー

    新聞・9月12日

    弟と玄関まで競争をして、先に新聞を取った方が父に届ける。子供の頃、日曜日の朝の日課だった。

    父は新聞を2紙取っていた。一般紙と経済専門紙をじっくり時間をかけて読んでいた。私たちには子供用を取ってくれた。少し大きくなると大人の新聞を読めという。

    私が一生懸命読んでいたのはテレビ欄だった。テレビをあまり見せてもらえなかったので、学校で友達と話を合わせるにはテレビ欄を熟読し、想像を精いっぱい膨らませないといけなかったのだ。

    その次には、よく国語のテストに使われるようになったコラムを勉強のために読むようになった。しかし新聞にはなかなかなじめなかった。

    父は定年になるとあっさり経済紙はやめて、一般紙も安いという理由だけで他社に変えた。

    なんということかと私は思ったが、別の新聞を読んでみるとまるで論調が違うのに驚いた。がぜん興味がわいて丁寧に記事を一つ一つ読むようになった。

    今や朝一番に手にして、パリパリという音を楽しみながら開く。あの音がまたいい。人に先に開けられると、なんだか損をしたような気にさえなる。

    縁側であぐらをかいて、のんびりと、でも熱心に読む祖父のそばに相手をしてほしくてまとわりついている小さな私。広げられた新聞を思わず踏んでしまって足をたたかれたこと。

    生活に追われ開かずに積みあがっていたときも、新聞を取ることはやめなかった。振り返れば新聞のない人生はない。

    休刊日はさみしい。


    瀬戸紀子(64) 兵庫県猪名川町


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