平城宮跡(奈良市)から奈良時代の竹尺(物差し)が出土していたことが分かり、奈良文化財研究所が紀要2021で発表した。平城宮跡でこうした竹製の物差しが確認されたのは初めて。当時、役所で実用品として使われた可能性が高く、約1300年前の竹材利用について知る貴重な資料となるという。
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同研究所が平成20年、役所が集まっていた平城宮跡の東方官衙(かんが)地区で行った発掘調査で、ごみ捨て穴を発見。穴の土を持ち帰って調査したところ、2年前に竹尺の可能性がある遺物を確認し、詳細を調べていた。
竹尺は、9片の断片で残っており、長さ3・4~13・7センチ、幅1・7~1・8センチ、厚さ0・2センチ。約3ミリ間隔の目盛りが刻まれ、約1・5センチや約3センチの部分は長く、それぞれに墨が入れられている。
復元すると、約45センチの竹尺になると推測。約3ミリという最小単位が刻まれ、側面に墨の跡も確認されたことから実用品と考えられるという。
正倉院にも物差しは残っているが、象牙やサイの角で作られており、装飾品とみられている。平城宮跡などではこれまでヒノキやウツギなどを使った物差しが出土しているが、土中で残りにくい竹製のものが確認され、貴重な成果となった。
奈良文化財研究所の浦蓉子研究員は「何を測ったかは分からないが、役人が実際に使用しただろう。今の物差しとそっくりのものを奈良時代の人も使っていたと言える」と話している。