• 日経平均26951.60-49.92
  • ドル円127.65127.68

脱炭素追い風 電力用半導体に脚光 富士電、三菱電が増産

電機メーカーが、電力制御用半導体の事業強化に相次いで乗り出している。富士電機は5年間で1200億円としていた投資計画の実施期間を4年間に短縮し、実質的な投資実行額を大幅に上積みしたほか、三菱電機は約200億円を投じ、国内3カ所目の量産拠点を整備する。同半導体はモーターの回転の制御や電圧・電流の変換に欠かせない部品。世界的な脱炭素の流れで電気自動車(EV)向けや太陽光・風力といった再生可能エネルギーの発電設備向けに需要が拡大しており、積極投資で成長市場を取り込む狙いだ。

パワー半導体の製造設備を増強する富士電機津軽セミコンダクタ(同社提供)
パワー半導体の製造設備を増強する富士電機津軽セミコンダクタ(同社提供)

「パワー半導体」とも呼ばれる電力制御用半導体は、パソコンやスマートフォンなどに使われる情報処理の演算プロセッサーやデータ記憶用のメモリーに並ぶ、第3の代表的な半導体製品だ。主な用途は産業機器や電力関連設備で、これまではIT機器に使われるデータ系のプロセッサーやメモリーに比べ成長力で見劣りしていた。

だが、電力の効率的な制御で省エネルギー化でも重要な役割を果たすパワー半導体は、脱炭素に向けた世界的なグリーン投資で需要が急増。調査会社の富士経済は、EVや再エネの発電・送電設備向け、第5世代(5G)移動通信システム向けなどの牽引(けんいん)で2030年の世界市場の規模を20年比44%増の4兆471億円と試算している。

データ系の半導体市場は、米インテルや韓国サムスン電子といった海外メーカーが圧倒的なシェアを握っているが、パワー半導体は日本勢が世界シェアで上位を確保しており、国内電機各社はさらに国際競争力を高める好機とみて投資を拡大する。

富士電機は当初、令和5年度までの5年間としていた半導体投資計画の実施期間を4年度までに1年短縮した上で、4年度分として400億円の追加投資も決めた。

具体的には来年1~3月に製造子会社の富士電機津軽セミコンダクタ(青森県五所川原市)に生産効率を高めた最新の製造ラインを新設する。さらに松本工場(長野県松本市)の設備増強やマレーシア工場の活用なども進め、パワー半導体の供給力を大幅に高める計画。これにより半導体事業の売上高を5年度に平成30年度比53%増の2100億円に引き上げる。

一方、三菱電機は、シャープから新たに取得した福山事業所(広島県福山市)の土地と建物の一部をパワー半導体工場に転換し、熊本県合志市と福岡市の既存2工場に次ぐ、第3拠点として11月から稼働させる。

同社は令和7年度までにパワー半導体を中心とする「パワーデバイス事業」に1000億円を投資し、同事業の7年度の売上高を2年度比60%増の2400億円に拡大する方針。

このほか、東芝も6月に電力のオン・オフを切り替えるスイッチング時の電力損失を最大40.5%低減できるパワー半導体の新技術を開発するなど同分野を強化しており、生産面でも5年度までに1000億円を投じて供給力を平成30年度比で50%増やす計画を進めている。

英調査会社オムディアによると、パワー半導体の世界シェア(2020年の売上高)は独半導体大手のインフィニオンテクノロジーズがトップだが、三菱電機が3位(8.51%)、富士電機が5位(6.45%)、東芝が6位(5.69%)、ルネサスエレクトロニクスが7位(3.38%)と健闘している。脱炭素関連の今後の需要獲得の動向によってはシェアの大きな変動につながる可能性もありそうだ。(黄金崎元)


Recommend

Biz Plus

Recommend

求人情報サイト Biz x Job(ビズジョブ)

求人情報サイト Biz x Job(ビズジョブ)