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「2050年までに2度上昇」仏科学者が警鐘

【ロンドン=板東和正】国連気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の報告書作成に関わった仏科学者、ロベール・ボター氏が産経新聞のオンライン取材に応じた。同氏は温室効果ガスの排出量を実質ゼロにしなければ、産業革命前と比べた世界平均気温の上昇幅が2050年までに2度に達すると指摘。2度の気温上昇はほぼ確実に異常気象の発生につながる水準だとし、中国や米国などを念頭に「排出量の多い国がまず対策を講じなければならない」と訴えた。

インタビューに応じるロベール・ボター氏(板東和正撮影)
インタビューに応じるロベール・ボター氏(板東和正撮影)

IPCC第1作業部会は今年8月の報告書で、産業革命前と比べた世界の平均気温の上昇幅が21~40年に1・5度に達するとの見通しを公表。温室効果ガスを大幅に削減しなければ、41~60年に2度に達するとした。報告書の執筆に携わったボター氏は今回の取材で気温上昇が2度になる時期をより明確に予測した。

ボター氏は1・5度の上昇では異常気象の発生に直接つながる「確証はない」と分析。だが、2度上昇すれば「世界の全ての地域で火災や洪水、干魃(かんばつ)など多様な変化が起きることがより明確に予想される」と危機感を示した。

ボター氏は、今世紀後半に世界の温室効果ガス排出量を実質ゼロにし、産業革命前からの気温上昇を2度未満、できれば1・5度に抑えることを目指す「パリ協定」を実現するには、30年までに二酸化炭素の排出量を10年比で30~40%削減する必要があると指摘。各国の現在の対策では「(協定の実現に)十分ではない」と述べた。また、温室効果ガスの排出量を実質ゼロにしなければ、50年以降に気温上昇が3度以上になる可能性があるとした。

バイデン米大統領が17日、強力な温室効果ガスであるメタンの世界排出量を30年までに20年比で30%削減すると表明したことについては「温室効果ガス全体の削減に比較的早く効果を発揮する」としつつ、温室効果ガスの大半を占める二酸化炭素の削減を急ぐべきだとの見方を示した。また、大気中から温室効果ガスを除去しなければ「温度は上がり続ける」とし、大気中の二酸化炭素を土壌に蓄積する技術などを導入する必要性も指摘した。

10月末からの国連気候変動枠組み条約第26回締約国会議(COP26)では、IPCCの報告書などをもとに対策が議論される見通し。ボター氏は、国連のグテレス事務総長が演説で気候変動問題などを念頭に「世界の分断」を指摘したことに触れ、「温暖化問題の解決には各国の協力が必要不可欠だ」と強調した。

ロベール・ボター氏 気候変動の専門家。1987年、ピエール・エ・マリ・キュリー大で博士号。2019年9月から気候変動などを研究する仏研究機関「ピエール・シモン・ラプラス研究所」所長に就任。フランス生まれ。58歳。


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