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【朝晴れエッセー】猫のムサシは死んだ・9月28日

5年前、動物病院の奥で鳴いていた子猫は生まれつき目が不自由で、ほとんど見えていなかった。

この子猫をもらい受けたいと申し出ると、獣医の先生は安楽死処置のために元の飼い主から預かっているお金で、逆まつげを手術してくださった。

ムサシと名付け、先住猫のタマ子とも慣れてわが家の一員となった。

ムサシは子猫特有の柔らかいフワフワの毛並みで家族を魅了した。光と影は分かるようで、動くものには反応して猫じゃらしで遊ぶこともできた。呼ぶと必ずかわいい声で返事をした。

成長すると、トカゲを捕ってきたこともあった。トカゲが尻尾を切り離して逃げようとしても、光と影で認知するムサシには本体の方が大きいのだからだまされない。

猫一倍食べることが大好きなムサシは体形も立派で、わが家の敷地に侵入してきたよその雄猫を追い払う任務を遂行した。

5年間を通して目薬は毎日欠かすことはなかったが、目の腫れから感染症を患い、3カ月ほどで天国へと旅立ってしまった。

仕事のせいにして目薬をさぼったこともあった。ペットロスは時間とともに心の奥から出てくる。

あの日出会わなければ、ムサシは安楽死の処置を受けるはずだった。わが家にやってきて幸せだったろうか。

ムサシ、障害を恐れず、屈せず、私たち家族に癒やしと感動を与え、日々の自宅周辺のパトロールを怠ることもなく、猫としての一生を全うした。

その勇気と愛をたたえたい。ムサシよ、ありがとう。

片山美智子(60) 兵庫県淡路市


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