東京五輪・パラリンピック組織委員会は29日、パラ大会の陸上女子「こん棒投げ」競技で、世界新記録が出た際に使用された競技備品「こん棒」を、製作した東京都立工芸高校(文京区)に贈呈した。
製作したのは同校定時制課程インテリア科の生徒13人。国内にこん棒を製作するメーカーがなかったことから、組織委が同校に依頼。東京パラ大会では、生徒が作ったこん棒を投げたルザ・コザコフスカ選手(ポーランド)が28・74メートルで世界新記録を樹立し、金メダルを獲得した。
生徒らは選手の手の大きさや障害の程度に合うように、4種類の持ち手のこん棒を開発。ブナの木の角材から約8カ月かけて20本を製作し、パラ大会で実際に使用されたこん棒の一部となった。
こん棒投げとは、握力が弱くやり投げや砲丸投げができない選手のための競技。ボウリングのピンのような形のこん棒を投げて飛距離を競う。
この日は組織委の小谷実可子スポーツディレクターが同校を訪れ「心のこもった作品がアスリートの最高の瞬間を作り上げた。若い力が大会を支えてくれた」とあいさつ。こん棒を製作した卒業生の西沢直斗さん(21)らに手渡した。
西沢さんは、「新記録が出たのは製作者としてうれしいの一言」と笑顔。卒業後は千葉県にあるみこし製作会社に就職したといい、「大会に携われたことは自分の大きな力になった」と語った。































