ドバイ万博開幕前夜 市内に多くの外国人観光客

    【ドバイ=黒川信雄】アラブ首長国連邦(UAE)ドバイで1日、ドバイ万博が開幕する。中東・アフリカ地域で万博が開催されるのは初。新型コロナウイルス禍で開幕が約1年遅れ、コロナ禍が依然続くなかでの開催だが、運営当局は2500万人の来場目標を変えていない。UAE政府は万博開催で国威発揚を図る一方、コロナ禍で打撃を受けたドバイの観光産業回復を加速させる構えだ。

    ドバイ万博会場中心部に設置された「アル・ワスル・プラザ」。30日夜の開幕式典の会場となるため、周辺は厳重な警備が敷かれていた=30日(黒川信雄撮影)
    ドバイ万博会場中心部に設置された「アル・ワスル・プラザ」。30日夜の開幕式典の会場となるため、周辺は厳重な警備が敷かれていた=30日(黒川信雄撮影)

    極暑の中、工事続く

    開幕前日の30日午前、ドバイ市中心部から車で南に向かい、砂地が目につく荒涼とした地域を抜けると、新興開発地域に建設された万博会場が現れた。

    入場口を抜けると、同日夜に開幕式典が開催される巨大ドーム「アル・ワスル・プラザ」が目に飛び込む。40度近い暑さのなか、まだ一部で工事作業が行われていて、開幕直前まで準備が続いている様子が伺えた。

    ドバイ万博の会場には、日本政府の「日本館」も設置されている。同館には2025年大阪・関西万博を模型や特殊映像を使って紹介するゾーンも設けられており、政府は同ゾーンを活用し、大阪・関西万博への各国のパビリオン出展を働きかける計画だ。

    「万博開幕を心待ちにしていた。早く、経済を元に戻してほしい」

    ドバイ国際空港で働くインド南部出身の男性は29日、記者にそう訴えた。ドバイの人口は約9割が外国人とされ、その多くが観光関連産業に携わる。石油など鉱物資源に恵まれないドバイにとり、観光業は「最大の輸出産業」(ドバイ観光・商務機関のカーゼィム最高経営責任者)と位置付けられ、その回復はドバイの最重要課題となっている。

    外国人客285万人

    そのためドバイは昨年7月、PCR検査の陰性証明書提出を条件に、海外観光客の受け入れを開始。今年1~7月の外国人観光客数は285万人に達した。29日に記者が市中心部を訪れると、欧州やロシア、米国など多くの外国人観光客の姿が見られた。

    一方でUAE政府は、国内居住者のワクチン接種を昨年12月から開始するなど、感染対策も急ピッチで進めている。現在、人口の9割超が1回以上の接種を終え、接種率は世界トップレベルだ。街中にはいたるところに手指の消毒設備が置かれ、マスクをしない人を見ることはほぼない。

    コロナ禍での開催だが、ドバイ当局は「2500万人の来場目標は達成できる」(カーゼィム氏)との立場を崩していない。

    ただ、開幕直前にはワクチン未接種の来場者にPCR検査の受診を義務付けると発表するなど、コロナ対策では試行錯誤が続く。9月23日には、1日分の料金で10月は会場に入り放題となるチケットを売り出すなど、誘客に腐心している様子もうかがえる。


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