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ドバイ万博は「真に画期的」 博覧会国際事務局長に聞く

博覧会国際事務局(BIE、本部・パリ)のディミトリ・ケルケンツェス事務局長は産経新聞の書面でのインタビューで、アラブ首長国連邦(UAE)で1日に開幕したドバイ万博の安全性を強調。2025年大阪・関西万博については「成功を確信している」と語った。インタビューの主な内容は次の通り。

ドバイ万博の「モビリティ・パビリオン」(ドバイ万博事務局提供)
ドバイ万博の「モビリティ・パビリオン」(ドバイ万博事務局提供)

――新型コロナウイルスの感染拡大が続くなかでドバイ万博が開幕する。主催者やドバイの住民、国際社会による取り組みをどう評価するか

「ドバイ万博はコロナ禍が発生して以降、190もの国の人々が集まって開催される、初の大規模国際イベントとなる。その取り組みは、コロナ禍で(1年の延期という)断絶も余儀なくされたが、一方で私たちは団結と行動の重要性を改めて確認することができた。この困難なときに、UAEや国際社会は協力を続け、この真に画期的なイベントの開催を実現させた」

「ドバイにおいては、コロナをコントロールする効果的な手だてがなされ、それがスムーズな開催準備を可能にした。何百万人もの人々を受け入れるために、ドバイ万博の運営当局は安全性を確保するための何重もの対策を講じた。結果、ドバイ万博は国際社会を結びつけ、人類の普遍的かつ重要な課題に取り組み、革新的な解決策を生み出す場となった。その事実こそ、ドバイ万博の消えることのないレガシー(遺産)だといえる」

――このような危機下において、万博を開催する意義とは何か

「コロナ禍という困難が私たちに教えたのは、(問題に対する)答えを共有し合い、協調して行動するということの大切さだ。デジタル化が急速に進んだ現代においても、経験を共有することが人間性の基本であるということをわれわれは確認した。世界は今こそ、ドバイ万博のような行事に参加する準備ができたとはいえないか」

「ドバイ万博が掲げたテーマ『心をつなぎ、未来を創る』は、人々に対し強く行動を促している。その行動の結果、われわれは一層団結し、つながり合い、持続可能な社会を実現させることができるだろう。コロナ禍への対抗策というのは、優れた最新技術だけでなく、人々の協力や問題解決の方法の共有、勇敢な団結だ。われわれに共通する人間性こそが前面に打ち出されるべきだ。そのようなメッセージもまた、ドバイ万博、また将来の万博を通じて発せられるだろう」

――ドバイ万博は中東・アフリカ・南アジア地域で初の万博となる

「この地域は人口に占める若い世代の割合が多く、急速な経済成長をしている。ドバイ万博においても若者が重要な役割を担っている。ドバイはアフリカ、南アジアのゲートウェー(玄関口)といえる位置にあり、万博もまたこれらの地域の経済発展の現状や、世界においてこの地域が果たしうる役割などを示す場になるのではないか。ドバイはまさに結節と交流の場であり、万博のテーマを体現していると思う」

「UAEは50年前に7つの首長国が一つの旗のもとに集い1971年に建国された(6首長国が71年12月、1首長国が72年2月に参加)。この協力の精神こそがUAEの魂だ。その建国50周年を記念するドバイ万博の開催は、人間主義というゴールに向け、人々を結び付け、共に行動することを促してくれるだろう」

――ドバイ万博は2500万人の来場を目指しているが、目標の達成は可能か。また万博はドバイの観光産業をどのように活性化させることができるのか

「万博の運営当局は、会場の安全を維持するためのより強力な手段を講じると発表している。国際的な渡航制限が続くなか、来場者の構成は変化するかもしれないが、運営当局は2500万人の目標は変えていない。世界的なワクチン接種の進展や、UAEにおける有効なコロナ対策は世界の人々を万博に引き寄せるだろう」

「ドバイにとって、万博が与えている経済的な影響はすでに巨大なものになっている。15キロにおよぶ地下鉄の延伸をはじめとしたインフラ整備は、ドバイの人々の生活やビジネスに長期的な利益をもたらす。ドバイはまた、間違いなく観光客やビジネス客の増加による利益を享受するだろう。万博を開催するということは、観光だけでなく、非常に幅広い分野の活性化につながる。長い目で見れば、経済的な恩恵や認知度の向上というメリットだけでなく、世界経済の回復の促進や持続可能な未来社会の構築という意味で、多大な貢献をしたと認識されるはずだ」

――ドバイの経験から、2025年に万博が開催される大阪は何を学ぶことができるか

「ドバイ万博が1年延期されたことによって、運営当局や参加者(国)らは、開催時の人の流れをより詳細に予想したり、デジタル技術を活用して来場者にアプローチするなどの技術を強化することができた。その結果、例えばパビリオンの前で人を長時間並ばせることなく、オンラインでの予約とスムーズな入場を実現するシステムが導入されたり、障害を持つ人々が、より来場しやすくなったりするなどの改善がなされた。これらの経験は、大阪万博でも活用されるだろう。ただ、万博はそれぞれユニークであり、独自の取り組みを通じ、常に新しい歴史を構築することが求められる」

「大阪が万博開催を勝ち取ったのは18年11月のことだった。コロナ禍の困難にも関わらず、大阪万博に向けた準備は飛躍的なペースで進んでいる。これは、過去の日本における万博開催の経験が生かされている。開催まで3年半あるが、すでに50カ国以上が参加を表明している。私は、さらに多くの国々が参加を表明し、未来社会の実現に向けて貢献してくれることを確信している」(聞き手 黒川信雄)


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