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【美村里江のミゴコロ】1周年の感慨

この連載を始めてから1年になる。

スタート時に書いたが、この「新聞での週1連載」は長らく私の夢だった。しかもさらに上位の目標として「1年以上」と思っていたので、今の状態は大変幸せ、ありがたい思いだ。

少し暑苦しくなりそうだが、この連載に付随して私の幸福感の持ちかたについて書いてみたいと思う。予期せぬ大きな変動が立て続けに起きる現代、少しでも気持ちを楽にするよすがになれば幸いだ。

さて、私が執筆の仕事を始めたのは16年前、21歳のとき。絵本の書評連載からスタートした。学生時代から読書が大好き、書くことも好き。読書感想文などで表彰されたこともあったが、売っている雑誌に自分の文章が載り、それを人が読むというのはとても不思議な体験だった。

同時に、普段自分がしている仕事の対極にあると感じた。本人の自力も必要だが、役者は素材。加工されたものが商品になる仕事である。舞台には演出がつき、映画やドラマは編集を経て、写真1枚を撮るにも衣装にメークにライティングと、磨かれて世に出るのが常だ。

それに比べ、執筆は下手でも日本語としておかしくない限り、そのまま出てしまう…。それが何やら自分の性分に合っていると感じ、その後も月刊の連載や単発執筆を喜々として続けた。

そんなこんなで5年後、私は一つの目標を立てた。毎日何十万部も個人宅へ配達されるものに、スピードと書き続ける能力必須の連載を持つこと。つまり「新聞での週1連載」を目指したのだ。専業執筆者でない自分の立場からはこれが一番難しいであろう、という目標だった。

達成のために何をすべきか。考えつつ試行錯誤の10年を経て、こうして新聞の週1連載が1年続き、他に3つの連載も掛け持ちしている現在である。

その道のりは自分にしか分からないし、他者にほめてもらう必要もない。ただ、自分にしか見えないトロフィーのようなもの。「よくやった」と自分に言ってやれるような、他者に奪われることのない経験をいくつか持つと、どんな状況でも心が温かくいられる。

自分にしか分からない幸福、いわば自己満足以上の幸福はないかもしれない(共有の幸福はまた別)。…と、何か最終回チックな今回でしたが、今後ともよろしくお付き合い下さい。


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