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【編集者のおすすめ】『邯鄲(かんたん)の島遥かなり 中』 「一生に一度」の大河小説

「小説家にとって一生に一度の作品があるなら」--。自分にとってはこの作品がそれだと、著者は言います。

『邯鄲(かんたん)の島遥かなり 中』
『邯鄲(かんたん)の島遥かなり 中』

明治維新から現代まで、なんと150年にわたる壮大な物語です。舞台は有名な実在の島を思わせる神生(かみお)島。そこに生きる一族の150年間を描き出す、超絶スケールの大河小説なのです。

明治維新直後、島で一番の名家「一ノ屋」の最後のひとり、松造が、船で島に帰ってくる場面から、物語は始まります。消息不明だった松造の帰還を、島の古老は吉兆だと喜びます。イチマツこと一ノ屋松造は、神か仏のような美貌の持ち主。島の女たちは、彼に魅了されていきます。

イチマツの血を引く者には、不思議なことに体に共通の徴(しるし)が顕(あらわ)れます。しかし、イチマツの帰還が本当に吉兆だったかどうか、そこは一筋縄では行きません。なにしろ、さまざまな小説ジャンルを横断する多彩な17の物語が、3カ月連続刊行の全3巻に詰め込まれているのですから。

特に、この中巻の時代設定は大正末期から昭和前半。激動の時代です。実際の歴史と容赦なく絡み合った話もあれば、思わず笑えるコミカルな話もあり、著者ならではの切れ味鋭い幕切れが待つ、ミステリー風味の話もあります。

巧緻な仕掛けと濃密な人間ドラマが織りなすミステリーを数多く発表している著者の、「一生に一度」。少し先走りになりますが、下巻の最後のページを読み終えたとき、きっと深い感動と同時に納得していただけるはずです。

(新潮社出版部 高澤恒夫)


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