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【柴門ふみの人生相談】真面目で損な人生に落ち込む

相談

60代男性。独身で結婚歴はありません。最近体調不良が続き、将来が不安になりました。財産は人並みにあります。問題は相続する人がいないことです。法定相続人には「いらない」「重荷」と言われてしまい、800年以上続く名跡を継ぐことを断られました。両親を自宅介護で見送り、真面目に誠実に生きてきたのに。私の苦労、人生は一体何だったのだろうと心が沈む日々です。

趣味を持てばとの助言を得て、ある会に入り、独学で実力をつけました。しかし老人の互選互助による「談合受賞」が当たり前の閉鎖的な世界で、私は評価されませんでした。正直に生きた者は、ただただバカを見て、評価もされない。苦労しか得られないのかと思うと悲しいです。この先何を目的に生きていけばいいのでしょうか。


回答

相談者の方は、真面目に実家を守ることに努め、財産も保全されているのですね。それは立派なことです。子孫が散財して旧家が失われてしまうことも少なくありません。よく努力されたのだと思います。

生活が保障されているので、趣味に生きがいを求められたのも、うなずけます。好きなことに没頭し、ちょっとした成果が上がりそれを誰かから認められたときの達成感は、老後の大きな生きがいとなります。

おそらく相談者の方が入った趣味の会が、閉鎖的で仲間内のなれ合いの会だったのでしょう。成果や前進を冷静に認め合うことのない、「仲良し会」では、真剣な向上心を持った会員は難しいのではないでしょうか。

ならば、別のもっと真剣味のある会に移籍するか。いっそ、独立独歩でわが道を行くか。幸いなことに、今はインターネットがあります。自分の趣味を多くの人に手軽に発表できます。ブログなりユーチューブチャンネルなりを開設してはいかがでしょうか。そのために頭をフル回転して新しい情報を学ぶことは、良い脳トレーニングになると思います。

私の老母が入居している施設では、体力維持体操を毎日行っているのですが、体力自慢の入居者には物足りず、外の本格的ジムに通う人もいるらしいです。高齢者の趣味でも、個々に応じたレベルがあるのですね。

それと財産を相続する人がいないのが「悩み」だそうですが、自治体に相談して寄付する方向もありだと思います。立派な古い住宅があるなら、歴史保存館として。広大な土地があるなら、公園や緑地として。

歴史が趣味な人や体を動かすのが好きな人がそれらを利用して喜ぶ姿を想像することは、生きがいになりませんか?


回答者

柴門ふみ 漫画家。昭和32年生まれ。代表作は講談社漫画賞の「P.S.元気です、俊平」(講談社)のほか、「東京ラブストーリー」「恋する母たち」(いずれも小学館)。「ビッグコミックオリジナル」(同)で新連載「薔薇村へようこそ」を開始。故郷の徳島市観光大使も務める。


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