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【朝晴れエッセー】豫防接種個人票・10月27日

赤茶けて縁の破れた「豫(よ)防接種個人票」なるものが見つかった。

私が小学校入学の昭和24年から中学卒業までの「痘そう」「ジフテリア」「腸チフス・パラチフス」「ツベルクリン反応、BCG接種」の記録である。「縣立高山保健所」と鉄砲町という町名まで記されている。他府県に移った高校の記録はない。

ツベルクリン反応の欄に(15×20)とある昭和26年は、腕が赤く腫れ、二重発赤となっていたとき。

同じ町内の同級生の姉妹と私と姉と他1人のツベルクリン反応の異常に、保健所の調査があり、同級生のお母さんの開放性結核が判明し即入院された。風邪で町内の医院に通院されていたが、その頃は個人医院にレントゲン設備がなかったのだ。

私と姉は病院で検査を受けた後、パスやヒドラジッドという薬を服用させられ、ストレプトマイシンの注射に通った。

当時の記憶が、飲みがたい薬と注射の痛みとともによみがえった。戦後のまだ貧しさの残る時代に、子供2人の長期の高額医療費は家計を圧迫していたことだろうと、今になって思う。

コロナ禍に出現した72年前の1枚の紙が、感染症の怖さと、予防接種や保健所の大切さと必要性、それに両親の苦労をも知らせてくれた。

亡き両親に感謝し、この古ぼけた「豫防接種個人票」は、和紙で裏打ちし、保存することにしよう。


蘭(あららぎ)直子(79) 大阪府岬町


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