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米価下落から考えなくてはいけない「農業の本質」

「減反政策」とは生産するお米の生産量・価格を政府が決定していた政策であり、農家はそのとおりに生産すれば収入が安定しやすくなっていました。この「減反政策」が廃止となった要因は、農業から「農業ビジネス」化をより加速することにありました。政府の方針に従うだけでなく、経営者個人がより自由に米の生産量を決め、ビジネスチャンスを的確に捉えて大きな収益を得られるようになる。

すなわち、農家者が自らの経営判断で米の生産などを実施し、自由な発想で、生産力高める事を目指して廃止が決定したのでした。2018年そうした政策がスタートした当初、私としては農業の未来のために、米農家でも本格的な農業ビジネスがいよいよ始まるなと。未来に対してとても明るい気持ちになったのを記憶しています。

その矢先にコロナ禍での消費減退により、コメ余りが深刻な状態になっています。それに伴い現在、2021(令和3)年産の買い取り価格及び概算金額は、過去最低レベルまで落ち込んでしまい、多重な問題を抱えた状況となっているのです。

危機的状況に日本が考えるべきこと

これまで、お米を取り巻く環境は、食が小麦へのシフト、食品ロス対策。そしてコロナで外食産業、インバウンドの低下と、今だけではなく、価格の暴落は過去にもあり、その都度、回復までは相当の年数を要してきました。その都度、米農家さんは負けず良くなる一心で戦ってきた歴史が存在します。でも、いよいよ限界の状況は近づきつつあります。このままでは日本から農業は失われる。農業ビジネスの未来を創造することはできない。そうした世の名になることを痛切に感じています。

ある米農家さんに今のコメ生産の実情をお伺いした際、実際にお話いただいた内容をご紹介します。

「今、コメの値段が下がって離農が加速するのもあるが、今の零細農家は「先祖代々の田を休耕田にしたくない」という理由もあり、採算度外視でも体力を酷使してコストの高いコメを生産するものの高齢化や後継者不足で先が見通せないから機械や設備の投資も出来ず、おまけにシカやイノシンの獣害で田が荒らされ、そしていよいよ「もうダメだ」となって泣く泣く耕作放棄地にしている生産者は多いんだ。そういう実情を理解して欲しい」

今の農村で起こっているリアルな現実です。更にこうしたお話も併せて聞かせていただきました。

「耕作放棄地が増えれば周囲は草だらけで害虫が増え、そしてイノシシ等、獣たちのエサ場となり最後まで耕作した者がまさに「正直者が馬鹿を見る」となる。そして、見た目だけで「耕作放棄は無責任だ」と責める人や「水田はダム機能を果たすから必要」と理屈だけ言う人もいる。そしてもっとひどいのは現実を知らず「日本の農家は国に守られ過ぎ」などとおっしゃる人もいる。作ればよいのか? やめればよいのか? 私たち米農家はどう生きればよいのか? 一体どうすればよいのだろうか?」

私はこのコメントに対して何もご返答することはできませんでした。今この国全体としてこうした問題に本当に明確な答えを指し示してくれているものはあるでしょうか?


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