値下がりの要素なし
一方、23区からの人口流出の傾向があることも事実だ。東京都によると、9月1日時点の23区の人口は約971万人で1年前より約4万3000人減った。前年同月比でのマイナスは7カ月連続だ。
この影響は単身者向けのマンションの家賃に現れている。アットホームの調査結果では、30平方メートル以下の物件の9月の平均家賃は8万8430円。国内での感染拡大が本格化した昨年春から転勤や進学による上京が減ったことなどから値下がり傾向が始まり、9月は20年1月比で2.0%減の水準だ。
ただ、今後はワクチン接種の普及で春の上京が戻る可能性があり、「業界内では上向きに転じるという期待感がある」(アットホームラボの磐前氏)。また分譲マンションの価格についても、都心人気に加えて人件費の高止まりや資材価格の上昇といった背景もあることから、「下がる要因がない」(不動産経済研究所)とみられている。
総務省の調査から推計される20年度の納税者1人当たりの課税対象所得は23区の平均で約487万円。都心6区(港、千代田、渋谷、中央、文京、新宿)に限れば平均約791万円にのぼる。近くて広いという理想を実現するためのハードルは高いともいえそうだ。
【Bizプレミアム】はSankeiBiz編集部が独自に取材・執筆したオリジナルコンテンツです。少しまとまった時間に読めて、少し賢くなれる。ビジネスパーソンの公私をサポートできるような内容を目指しています。アーカイブはこちら