中国国営メディア、相次ぎ習氏礼賛報道 長期政権へ宣伝強める

    【北京=三塚聖平】北京で開催中の中国共産党の重要会議、第19期中央委員会第6回総会(6中総会)に合わせ、国営メディアで習近平総書記(国家主席)の業績をたたえる報道が相次いでいる。来年の党大会で異例の3期目入りを目指す中、「実績」の強調でお膳立てをしている形だ。歴史的指導者という地位を演出するため、過去の指導者の存在を薄める動きもある。

    新聞やインターネット上で習近平国家主席の業績をたたえる中国メディア=9日、北京(三塚聖平撮影)
    新聞やインターネット上で習近平国家主席の業績をたたえる中国メディア=9日、北京(三塚聖平撮影)

    国営新華社通信は、6中総会直前の6日に「習氏が100年の大政党を率いて新たな道のりを奮い立って進む」と題した1万2000字超の長文記事を配信。文化大革命(文革)時代に地方に「下放」された青年時代から現在までを振り返った。2012年の総書記就任後の実績として、米中貿易戦争や新型コロナウイルスの感染拡大への対応などを列挙。「疑いなく歴史の潮流を御する核心となる人物だ」と絶賛した。

    中国共産党機関紙、人民日報も今月に入り、習氏の業績を振り返る「新時代の鍵となる選択」と題した連載を連日掲載している。

    6中総会では、40年ぶりとなる「歴史決議」案を審議中だ。歴史決議で歴史的指導者としての地位を固め、長期政権を目指す来年の第20回党大会へ習氏を礼賛する宣伝をさらに強めるとみられる。毛沢東への個人崇拝が中国全土を大混乱に陥れた文革を引き起こしたという過去があり、習氏に対する個人崇拝の傾向がさらに強まることを警戒する党関係者もいる。

    さらに、習氏の地位を突出させるような報道もみられる。9日付の人民日報は習指導部発足後を振り返る新華社配信の1万3000字超の記事を掲載。この中で、建国の父である毛、改革開放政策を主導した鄧小平に何度も触れる一方で、江沢民元総書記と胡錦濤前総書記の記述は皆無だった。

    審議中の歴史決議に関しても、党100年の歴史を「毛、鄧、習」の三段階で整理するという見方が出ている。江、胡の両氏の時代は過渡期として、鄧時代の中に入れられるというものだ。国営メディアの報道も、そうした動きを反映している可能性がある。


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