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中国、台湾名門大で「浸透作戦」 技術、人材獲得へ事務所設置

【台北=矢板明夫】台湾の名門大学、清華大のキャンパス内に中国当局の関連機関の事務所が設置され、中国のためにITや半導体関連の人材誘致などを行っていることが10日までに明らかになった。台湾では、中国本土の組織や企業が台湾で事務所を設置して人材募集することが規制対象となっている。台湾の教育部(教育省に相当)が同大に罰金を科す方針を固めたほか、捜査当局は「中国による浸透の新しい手口」とみて捜査に乗り出した。

中国国旗=北京(ロイター)
中国国旗=北京(ロイター)

台湾紙、自由時報などによると、清華大の校友会と中国の福建省アモイ市、北京の清華大が共同で設立した「清華海峡研究院」が2016年4月、新竹市の台湾・清華大キャンパス内に「新竹オフィス」を設置していたことを台湾当局が7月までに把握した。技術開発人材や投資の誘致を目的としている。台湾の組織であっても無許可で中国本土のために人材を募集することは「両岸人民関係条例」に違反するため、教育部は同大に事務所の閉鎖を命じ、50万台湾元(約200万円)の罰金を科す方針だ。

清華大の前身は1911年に北京で創立された清華学堂。中国国民党と中国共産党の内戦後、50年代から北京と台湾に2つの同名大学が存在している。北京の清華大は習近平国家主席や胡錦濤前国家主席の母校。台湾の清華大は特に理工系が有名で、半導体大手の台湾積体電路製造(TSMC)に多くの人材を輩出している。近年、北京の清華大は卒業生の交流などを名目に台湾の清華大に接近している。

「新竹オフィス」が設置された目的について、台湾の情報機関「国家安全局」の陳進広副局長は8日、立法院(国会)での答弁で「中国では現在、約60万人の半導体関連の人材が不足している」と証言。米中対立に伴うサプライチェーン(供給網)の見直しなどにより、中国本土では半導体企業の部品調達や技術刷新の遅れが顕著で、人材補充のために清華大の教職員や卒業生が狙われていることを示唆した。

台湾で対中政策を担当する大陸委員会は、こうした事務所が「人材と技術の流出」につながる恐れがあるとし、台湾全域の大学を対象に同様の違反行為がないかについて調査を始めた。

台湾の国防部(国防省)が9日に発表した国防報告書は、武力攻撃ではない手法で台湾にダメージを与える「グレーゾーン作戦」の脅威が高まっていると指摘した。同部関係者は「大学への浸透もグレーゾーン作戦の一種であり、警戒しなければならない」と話す。


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