• 日経平均27522.26-250.67
  • ドル円113.68113.78

東芝、問われるガバナンス強化 国との距離感も課題

東芝による株主妨害問題で、ガバナンス強化委員会は、当時社長だった車谷暢昭氏の責任を認定した。メールなどを使わず、〝証拠〟がないことから、車谷氏の関与については6月に、外部弁護士が公表した報告書の中でも言及がほとんどなかったが、ガバナンス強化委は、関係者への聞き取りなどから、車谷氏の関与をあぶり出した。

東芝本社が入るビル近くに掲げられたロゴマーク=東京都港区
東芝本社が入るビル近くに掲げられたロゴマーク=東京都港区

「大変な困難を伴った」。調査報告書について説明したガバナンス強化委の金築誠志委員長(元最高裁判所判事)は、車谷氏に関する調査をそう振り返った。

車谷氏はガバナンス強化委のヒアリングに対しても主体的な関与を否定。ただ、他の調査対象者の証言などから、車谷氏が深く関わっていたことが明らかになった。

「霞が関との合意形成に努めたい」。株主総会を控えた昨年4月30日と5月1日。車谷氏は社外取締役に電話でそう伝えたという。ほかにも「主役は経済産業省である」などと伝えていたことも明らかにした。

また、強力な政府の支援が必要であることが記された「当社株主総会に関する課題」という文書も、車谷氏の原案が基になっており、最終的な確認も車谷氏が行っていた。また、車谷氏が1日に1回程度は株主対応の状況を含めた業務報告を受け、総会直前には、2日に1回程度は幹部との打ち合わせに出席していたことから、「車谷氏は一連の行為の大筋を認識し、少なくともこれを事後的に承認していた」と結論づけた。

一方で、経産省との関係について報告書は「過度に依存する体質」と問題視、関係の改善を求めた。東芝も「ガバナンスの強化は最重要の経営課題」(綱川智社長)との認識だが、どこからが不適切な関係になるのか、線引きは難しいのが実態だ。

米中対立が先鋭化する中で経済安全保障政策は重要性を増しており、原発事業などを抱える企業にとって、経産省との関係はこれまで以上に重要となる。日本の重要な情報が海外に流出するのを防ぐため、経産省としても外国人投資家の動向にはこれまで以上に目を光らせたいはずだ。

東芝はこの日、企業価値を高めるとともに機動的な経営を実現するため、会社を3分割する成長戦略を発表した。「総合電機」の看板も下ろす大胆な戦略を成功させるには、政府との関係を維持しつつ、投資家からも疑いの目を向けられないような、難しいかじ取りが経営陣には求められる。(米沢文)


Recommend

Biz Plus