「命かけて環境守る」 ブラジル先住民女性の決意

    COP26の招待演説で、森林破壊を止めるよう訴えた南米ブラジルの女性環境活動家、チャイ・スルイさん(24)が産経新聞のインタビューに応じた。自身に加え、多くの環境活動家が殺害予告を受けるなど困難な状況に直面していると明かすとともに、「命をかけて、環境を守るため闘う」と強調した。(英北部グラスゴー 板東和正)

    COP26の会場でインタビューに応じるチャイ・スルイさん=英グラスゴー(板東和正撮影)
    COP26の会場でインタビューに応じるチャイ・スルイさん=英グラスゴー(板東和正撮影)

    スルイさんは、アマゾン熱帯雨林で生まれた先住民で、環境活動家だった両親の影響で森林破壊に反対する運動を始めた。

    「熱帯雨林一帯では(森林伐採による)温暖化の影響で(一部の)植物が育たなくなったり、動物が姿を消したりする影響が出ている」と指摘。両親が現地で環境保護活動を行っている理由から脅迫されているとも明かし、「環境活動家が迫害される事態を変えなければならない」と訴えた。

    欧州メディアによると、中南米を中心に昨年、環境活動家ら約200人が殺害されたという。スルイさんは1日の首脳級会合の開会式演説で、議長国・英国のジョンソン首相やバイデン米大統領らを前に「『私たちに時間がない』と地球が語っている」と温暖化対策を加速させるよう訴えるとともに、森林破壊を防ごうとした友人が殺害された経験も明かした。この演説は、「ブラジルで起きる深刻な現実を世界に伝えた」(英環境活動家)と評価されている。

    英BBC放送によると、首脳級会合を欠席したブラジルのボルソナロ大統領は、演説したスルイさんを批判。スルイさんはその後、SNS上で殺害予告や多数の中傷を受けた。

    「とても悲しかったが、怖くはない」とし、「私はブラジルを批判したのではなく、現実を伝えただけだ。(中傷されたのは)真実を言ったからだ」と述べた。

    ブラジル政府は10日、COP26で、アマゾン熱帯雨林の違法伐採を28年までになくす目標を示したが、「政府は約束だけでなく、実行すべきだ」と語った。

    スルイさんはスウェーデンの環境活動家、グレタ・トゥンベリさん(18)と同様に、環境問題に対する率直な発言が若者らの支持を集め、「ブラジルのグレタ」(専門家)とも呼ばれる。「より良い未来を望むなら、世界中の若者たちが環境問題にもっと声をあげるべきだ」と呼び掛けた。


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