わかいころ、本場のドイツ、ハイデルベルクの哲学者の道を上ったことがある。しばらくして対面の城が正面に見えてくる。目の下にはネッカー川が流れ、教会や古い町並みが見下ろせて絶景であった。
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ただし、哲学とは縁のない人間が絵を描きにいったのだ。瞑想(めいそう)というより、むしろ風景を求めて上ったのだった。わたしには急勾配だったし、あまりにも見事でかえって描きにくかった。京都の哲学の道は、ハイデルベルクのこの道にちなんだと聞いたことがある。この絵は道を踏み分けて林の小道へはいったところ。(あんの みつまさ=画家、抜粋)