未来を思い描く力の養い方
突然ですが、あなたは最近、何かをじっくり見たことがありますか?
無心に風景を見る、美術館で1枚の絵を数十分見続ける(館員の人に怒られるかもしれませんが)、本をじっくりと精読する――慌ただしい日々の中で、私たちは何か一つのことにだけ時間を費やすということをほとんどしなくなっています。
シーリグ教授は、未来を思い描く力を養う方法として「一つのことにどっぷり浸かってみる」ことをアドバイスしています。慌ただしい毎日、あえて1~2時間ひとつの絵を観たり、全てを忘れてゆっくり本を読んだり、映画を観たりしてみます。そして、そこで気づいたことをできるだけ多く挙げて、意味について考え、書き出してみましょう。
そして次に、自分の「夢の舞台」を妄想してみます。世界はいくつもの舞台が集まってできていると考えてみようとシーリグ教授は言います。舞台は「今いる場所」から「全世界」まで広がっています。いまあなたは、どの舞台にいますか? これから、将来、どの舞台で活躍したいですか? 自分の挑戦や夢を、遠慮なく想像する時間を設けましょう。
「大胆な未来を思い描く力は、個人と同じように、激しく変化する世界で生き残りを目指す企業にとっても重要です。グーグルなどの企業が想像力を使うことを奨励しているのは、このためです。よく知られているように、同社のCEOラリー・ペイジは、伝説になる可能性を秘めた月面着陸のような大胆なプロジェクト<ムーンショット>を熱心に後押ししています」(『スタンフォード大学 夢をかなえる集中講義』より)
何か有意義なことを成し遂げたいと思うなら、まずは明確なビジョンを持つことだとシーリグ教授は言います。このビジョンは、自分自身の経験と分かちがたく結びついています。これが想像力の本質なのです。
自分のビジョン、それにまつわる明確な世界に積極的に関わることによって、課題やテーマとチャンスを見通すことができ、それにどう対処するかのイメージが湧いてきます。偉大なチャレンジ・事業はみな、想像力から始まっているのです。
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想像力は才能やセンスではなく、身につけ強化できるスキルです。アイデアを実現するリーダーになるために、まずは自分の想像力を強化する時間の投資を、今日から始めてみましょう。
【社長を目指す方程式】は井上和幸さんがトップへとキャリアアップしていくために必要な仕事術を伝授する連載コラムです。更新は原則隔週月曜日。アーカイブはこちら