“逆引き”が面白い 「都道府県魅力度ランキング」の楽しみ方

    民間シンクタンク、ブランド総合研究が所発表した「都道府県魅力度ランキング」は、2009年から発表されていますが、それにしても今年は随分と話題になりました。

    何より、前年から4つ順位を下げて44位だった群馬県の山本知事が「法的措置も検討している」とかみついたことで、SNSで反応したくなるネタだったこともあって野次馬大入りのお祭り状態となったのです。

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    大方の反応は「大人げない」と冷静なものでしたが、日々県のブランドアップに取り組む知事、県庁など関係者にしてみれば心外の極みだったに違いありません。

    都道府県魅力度ランキング(地域ブランド調査2021プレスリリースより)
    都道府県魅力度ランキング(地域ブランド調査2021プレスリリースより)

    「住めば都」も、比べたくなるのが人の性

    「住めば都」という言葉があるくらいですから、もちろんどこに住んでも幸福になれることが真理であると確信します。まして自分や家族が住み、地縁がある場所にプライドや愛着を持つのは極めて自然な感情です。

    一方で、ちょっとした他人との差異を種に、マウンティングしかけたくなるのも人間の哀しい性。住所マウンティングはそこかしこに根強く存在します。

    コンビニもない、「都会」と「田舎」の生活環境に今より大きな差があった時代には「都会自慢」や「田舎コンプレックス」も確かにあったように思います。 同じ都会住まいでさえ、「地位(ちぐらい)」というちょっと嫌みな言葉があるぐらいで、歴史的、環境的、利便性などの文脈で生活者の認識に大きな差異が存在することも紛れもない事実でしょう。

    特にSNS上匿名性の応酬の中では、あられもない形で東京都心、大使館や富裕層などが多く在する「港区マウンティング」などが横行し、逆に言えば当たり前のように一部地域を下に見たり、ディする発言が横行していたりもします。 そう考えれば、山本知事がいみじくも反応したように、ことは「差別」という一番イヤな事象にもつながりかねず一理ある根深い話かもしれません。

    それにしても、毎度この手の話を見聞きするたびに、たかがお上が決めた行政区単位で威張ったり、卑下したりする感覚はさすがに雑過ぎるといつも呆れてはいます。

    「港区マウンティング」一つとっても、確かに下水道もない江戸時代、比較的高い場所に多く大名屋敷などが陣取っていたことは事実ですが、自動車もない時世でもありますから必ず背中合わせにその生活を支える庶民のざっかけない生活が存在していたわけで、住所自慢ごっこが好きな人に限ってそんなことに無頓着で有名アドレスに酔いしれているのです。

    自動車のナンバープレートしかり、そんな本来グラデーションたっぷりの事象に対しておおざっぱな行政単位の区切りにいちいち関興をもつのは、ほどほどにした方がよいと思うのです。


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