東京電力福島第1原発事故で福島県葛尾村に残る帰還困難区域のうち、来年春の避難指示解除を目指す特定復興再生拠点区域(復興拠点、95ヘクタール)は30日、帰還準備のために住民が自宅に宿泊できるようになった。準備宿泊の手続きを済ませ、初日から暮らすのは夫婦1組のみにとどまる。
7市町村にまたがる帰還困難区域で夜間滞在が可能になるのは初めて。うち6町村が除染やインフラ整備を先行させる復興拠点を設け、令和4年春~5年春の避難指示解除を目指している。
葛尾村によると、北東部の野行地区の復興拠点には30世帯83人が住民登録。10年超の避難期間中、傷みが進んだ自宅を解体し避難先で再建した人が多く、村は寝泊まりできる施設を設けた。
復興拠点の準備宿泊は、福島第1原発が立地する大熊町でも12月3日に始まる。町はこれに先立つ11月30日、住民が事前申請なしに拠点全域に入れるよう規制緩和した。