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クリスマスケーキ、屋形船、銭湯…書き入れ時に原油高が直撃

先月まで続いていた原油価格の高騰は一段落したが、その影響はガソリンや軽油、灯油などの価格だけでなく、生活に身近な多種多様なものに飛び火し、今も家計を直撃している。新型コロナウイルスの感染状況が落ち着き、クリスマスシーズンを書き入れ時と考えていた業者への影響も深刻だ。感染力の強さが懸念される変異株「オミクロン株」による感染拡大も懸念される中、景気の先行きは不透明となっている。(浅上あゆみ、橘川玲奈)

原油価格の高騰を受け、クリスマス商戦を控えるケーキの価格も値上げを余儀なくされている=東京都千代田区のパティスリー「ゴンドラ」(寺河内美奈撮影)
原油価格の高騰を受け、クリスマス商戦を控えるケーキの価格も値上げを余儀なくされている=東京都千代田区のパティスリー「ゴンドラ」(寺河内美奈撮影)

値上げするしか…

「材料全てが値上げしている。かつてないほど苦しい」。昭和8年創業のパティスリー「ゴンドラ」(東京都千代田区)の代表取締役、細内進さん(82)は、こうこぼした。

例年であれば、一番ケーキが売れるはずのクリスマスシーズン。だが今年はケーキに欠かせないイチゴなどの原材料価格が上昇しており、客足に不安が募る。

背景にあるのが原油価格の高騰だ。イチゴのビニールハウスの暖房設備には大量の灯油が使われる。燃料高はハウス栽培の野菜や果物の価格に直結する。さらに海外からの輸送費が上がり、小麦や砂糖、生クリームといったケーキや焼き菓子の材料が値上がりした。

その結果、予約を受け付けているクリスマス用のホールケーキは、昨年から200~400円ほど値上げせざるを得なくなった。

追い打ちをかけるようにケーキのフィルムや焼き菓子の梱包(こんぽう)資材の価格も上昇。店内のケーキは今のところ価格を据え置いているが「これから10~20円ほど値上げすることを検討している」という。

代金は据え置きで…

もうけを削りながら耐え忍んでいる業者もある。

屋形船の「鈴木屋」(中央区)は、新型コロナの影響で2年近くほとんど運航できていなかったが、ここにきて客が戻り、運航を始めたところだった。しかし、燃料の軽油価格が高騰した。「燃料は高くても仕方がない」と女将(おかみ)の白仁田君代さん(71)。代金は据え置きで営業を続けるという。

冷えた心身を温める銭湯にも影を落とす。銭湯の入浴料金は、都道府県ごとに統制額(上限額)が定められ、湯を沸かす燃料代の高騰を転嫁できない。都市ガスで沸かす調布市の「神代湯」の代表、古瀬康雄さん(47)は「もともと冬は夏よりも約1・5倍燃料を多く使う。値上げは非常に怖い」。ボイラーや暖房を少し早めに切るなど、細かな対策でやりくりするという。

追い打ちをかけそうなのがオミクロン株だ。原油価格高騰のストップは、感染拡大による需要減少を見込んだものだが、これは市場が経済活動の停滞を不安視していることを示す。

東京・新橋の居酒屋「和食りん 新橋本店」の店長、西村一樹さん(40)は「感染力が強いと聞くので、また感染が拡大してしまうのをとても懸念している」と話す。緊急事態宣言があけ、10月半ばごろから満席状態が続き、客足が戻ってきていたのを実感していた。「この調子が続けばと思っていたところだったのだが…」と不安げに語った。

1年近く影響も?

こうした原油高騰の影響はいつまで続くのか。第一生命経済研究所の永浜利広・首席エコノミストは「ガソリンや軽油、灯油などは、2週間ほどで小売価格に値下がりが反映されるだろう。電気料金は、電力会社の燃料費調整制度で、約4カ月で値段が下がってくる」と指摘。一方で「食料品などは、ものによって半年から1年近くかかるだろう。生鮮食品は生産に時間がかかるものもあるため、短時間で反映できず、加工品はメーカーは定価を改定する必要があり、すぐには変わらない」と話している。


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