原油急騰懸念回避も予断許さず OPECプラス、増産計画維持

    石油輸出国機構(OPEC)加盟・非加盟の産油国でつくる「OPECプラス」が2日開いた閣僚級会合で、現行の毎月日量40万バレルずつ生産量を増やす原油増産計画を2022年1月も維持することで合意した。新型コロナウイルスの新たな変異株「オミクロン株」の出現で原油相場が急落し増産停止案も浮上したが、供給量の増大を求める米国などの消費国に配慮した形だ。原油価格の急騰懸念は一時的に回避されたが、予断は許さない状況だ。

    3Dプリンターで作られた採油ポンプの模型とOPECのロゴ(ロイター=共同)
    3Dプリンターで作られた採油ポンプの模型とOPECのロゴ(ロイター=共同)

    「増産の停止懸念があったが、今回の決定は消費国の立場に一定の理解が得られたものと思う」

    萩生田光一経済産業相は3日の閣議後記者会見でOPECプラスの対応を評価した。また、原油相場がやや下がっている現状でも石油備蓄の油種入れ替えに伴う売却を実施するかについては、「売却方針自体に変更はない。時期も国際的なエネルギー市場の動向を注視しながら進めたい」と、従来の考えを維持した。

    供給不足感が後退したことを受け、東京商品取引所で3日朝まで行われた中東産原油の先物夜間取引で、一時1キロリットル当たり4万4500円と、8月25日以来の水準に下落。3日清算値(株価終値に相当)は前日比900円高の4万7950円と乱高下した。

    日本総合研究所創発戦略センターの滝口信一郎シニアスペシャリストは、石油備蓄放出の協調策に加え、産油国による増産が一定程度続くことで、「原油価格は足元でやや下げているが、その近辺で上下する状況がしばらく続くのではないか」と分析する。

    次回会合は来年1月4日に開催予定。会合後の声明では「市場動向を注視し、必要に応じて即座に調整する」としており、増産見直しに含みを持たせている。(那須慎一)


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