オミクロン株、国際金融市場の動揺続く 米の引き締め加速、混乱拍車

    世界保健機関(WHO)が新型コロナウイルスの新変異種を「オミクロン株」と名付けてから1週間が経過した。3日の日経平均株価は反発したものの、この6営業日で1500円近く下落するなど、国際金融市場の動揺が続いている。未知の脅威に対し、投資家が身構えたところに、米連邦準備制度理事会(FRB)が金融政策の引き締めを加速する「タカ派」色を強めたことが混乱に拍車を掛けた。原油など商品市況も不安定な値動きが続く。

    スイスのジュネーブにあるWHO本部(共同)
    スイスのジュネーブにあるWHO本部(共同)

    引き金を引いたのは、11月26日早朝に伝えられた南アフリカで新変異種が検出され、感染が拡大しているとの情報だ。日経平均はこの日、前日終値から一時900円近く急落した。

    同30日には、FRBのパウエル議長が量的緩和策の縮小ペースを「数カ月早めるのが適当だ」と発言。足元の急激な物価上昇への警戒感をあらわにした。オミクロン株の出現で、量的緩和縮小がペースダウンするとの市場の大方の予想に反した見解だった。

    米ダウ工業株30種平均が急落するなど、市場は荒れ模様となった。投資マネーが株式や原油など比較的リスクの高い資産から、債券や日本円など低リスク資産へと流れ込んだ。

    欧米の主要中央銀行は新型コロナ感染拡大による景気減速と急激な物価高のはざまで頭を悩ませる。オミクロン株の出現がその見極めを一層難しくしている。

    全ては各国・地域がオミクロン株にどこまで対処できるかにかかっている。市場には、既存ワクチンの有効性と重症化率の程度によって、3~4つのシナリオが浮上する。インベスコ・アセット・マネジメントの木下智夫グローバル・マーケット・ストラテジストは「既存ワクチン無効・低重症化シナリオを織り込みつつある」との見立てを示す。

    オミクロン株の性質や既存ワクチンの有効性、対応する新型ワクチン開発の見通しについて、情報が出そろうには数週間はかかるとみられる。木下氏は「国際金融市場はその間、個々のニュースに敏感に反応しやすいだろう」と神経質な展開を予想している。(米沢文)


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