レクサスが初のPHEV(プラグインハイブリッド)の発売を開始する。レクサスとして第2位の量販モデルである「レクサスNX」がフルモデルチェンジ。そのタイミングで「NX450h+」を投入するのだ。
PHEVを現実的なパワーユニットとして推進
急速充電システムに接続すれば、総電力量18.1kWhの大容量リチウムバッテリーに電力を蓄えることが可能、かつエンジンを停止したまま約88キロのEV(電気自動車)走行が可能であり、もし仮にバッテリー残量が低下したとしても、エンジンを始動させ、減速時の回生ブレーキも含めてバッテリーに電力を補充する。
世界がカーボンニュートラルの社会に向けて邁進する中で、PHEVが現状でもっとも普及させるべきモデルだとする考え方が多い。筆者も同様にPHEV肯定派だ。近い将来の脱内燃機関を公言するメーカーも少なくない。レクサスも2019年には次世代電動化戦略「レクサス・エレクトリファイド」を発表した。だが、盲目的なEV化には否定的な立場。現実的なパワーユニットとしてPHEVを推進する。
レクサスは全方位的な動力源を揃えているのが特徴だ。レクサスがエモーショナルなブランドであるためにはスポーツカーが不可欠であり、「LC500」や「RC F」にはV型8気筒5リッターエンジンが搭載される。力強さとハイレスポンスのパワーユニットであり、“走り派”のハートを掴んで離さない。一方でEVモデル「UX300e」を投入。火力発電依存度の低いガソリン車と、走行中にCO2を一切排出しないEVをラインナップ。主力の中心はレクサスが得意とするハイブリッドであり、その性能をさらに高めたPHEVを投入。選択肢を残す考え方である。
新型NXに6種類のパワーユニットを揃えているのも特徴だ。直列4気筒を基本に、2.5リッターNA、2.4リッターターボ、2.5リッターハイブリッド、そして今回新たに加わった2.5リッタープラグインハイブリッドである。駆動方式もFFとAWDである。豊富な車種構成が魅力の一つでもある。
そしてそのすべてに、走りの質感を高めている点もレクサスのこだわりなのだ。環境性能を高めるために走行性能や走る喜びを犠牲にしているわけではなく、むしろすっきりと切れ味の良い走りを楽しむための、クルマとしての本質を見失ってはいない。