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対中で重要性増すODA 減額圧力に外務省反論躍起

年末の令和4年度当初予算案の編成に向け、発展途上国を支援する政府開発援助(ODA)予算への査定圧力が強まっている。ODAの「無償資金協力」が事業の進捗(しんちょく)遅れで滞留しているとして、財務省は予算カットをちらつかせる。ただ、無償資金協力は中国の台頭に対応するための外交ツールとしても重要性を増しており、外務省は制度の運用改善を打ち出し、必要性のアピールに躍起だ。

外務省=東京都千代田区(鴨川一也撮影)
外務省=東京都千代田区(鴨川一也撮影)

無償資金協力は途上

国での学校や病院、港湾などの施設整備や機材供与といった事業に活用されている。3年度当初予算ではODA予算の約3割にあたる1632億円が計上された。資金は政府から事業の実施機関である独立行政法人・国際協力機構(JICA)に渡され、進捗状況に応じて相手国に供与されている。

これがやり玉に挙がったのは10月の財務省の審議会だった。同省は事業の進捗遅れで年間予算額を超える計1960億円がJICAに滞留していると問題視。審議会の資料では「継続事業の進捗管理に集中すべき」だとして、新規案件を認めない姿勢すらほのめかした。新型コロナウイルス禍に伴う歳出増に歯止めをかけるべく、ODAにも査定の圧力を強めた格好だ。

外務省は敏感に反応した。11月末には無償資金の運用を見直し、進捗が見込めない事業は相手政府と協議の上、中止して資金を国庫返納すると発表。まずは100億円程度の滞留を解消する方針を示した。

無償資金協力の事業は複数年度にわたり、もともと一定額は滞留する仕組みとなっている。外務省によると、1960億円のうち、実際に進捗が遅れて未完工の事業は約3分の1の670億円分。担当者は「最大の要因はコロナ禍だ。政変や治安、災害などの影響も大きい」と説明する。

事業の多くは規模こそ大きくないが、政府が掲げる「自由で開かれたインド太平洋」の推進を具体的な形で下支えしている。中国の海洋進出に直面する東南アジア諸国での海上保安に関する能力向上や、シーレーンの要衝・ジブチやスリランカへの巡視船供与も無償資金協力で実施された。

新型コロナの変異株出現を防ぐため、途上国でワクチン接種率を向上させる必要性が指摘されているが、アフリカ諸国などでの接種支援も無償資金協力だ。外務省幹部は「この機会にワクチン外交で影響力を強めようという国もある。日本がやれることをしっかりやらせてほしい」と訴える。(千葉倫之)


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