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特殊詐欺にタクシー3千台〝監視網〟 京都でタッグ

特殊詐欺事件が増加する年末を迎え、京都府警が街中を走る3千台超のタクシーとタッグを組み、現金を受け取る「受け子」の摘発態勢を強化している。府警は事件を認知次第、人相や服装などの受け子情報をタクシー側に提供。監視の〝目〟となってもらい、早期の発見・確保につなげるという全国的にも珍しい取り組みだ。近年は現金を振り込ませる「オレオレ詐欺」に代わり、受け子が被害者宅を訪問する手口が主流になっており、このトレンドに着目した京都発の新たな手法に期待がかかる。

特殊詐欺の「受け子」の情報が表示されたタクシーのモニター=京都市右京区(鈴木文也撮影)
特殊詐欺の「受け子」の情報が表示されたタクシーのモニター=京都市右京区(鈴木文也撮影)

車内モニターに受け子情報

〈〇〇駅〇〇側付近 男 20歳代 黒色スーツ 黒眼鏡 黒色鞄(かばん) イヤホン着用〉

タクシーのハンドル脇にあるモニターに、京都府警からの情報が表示された。府警が認知した特殊詐欺事件の受け子の特徴は、10分以内にタクシー会社に提供され、各車両に配信。ドライバーがその情報と合致するような不審人物を見つけたら、ただちに通報してもらう仕組みだ。

11月末に府警が京都市内のタクシー会社「キャビック」と開催した報道陣向けの説明会で、同社の兼元秀和社長は「タクシーは24時間街中を走り、ドライブレコーダーで証拠も残すこともできる」と強調した。

連携の背景にあるのは、特殊詐欺手口の流行の変化だ。最近はグループの最下層に位置する受け子が被害者宅を直接訪れ、現金やカードを受け取る方法が主流に。警察当局にとっては、口座振り込みを悪用されるケースよりも実行犯を押さえやすい状況になっている。

京都府内でも、昨年の特殊詐欺事件の認知件数のうち、受け子訪問が約75%を占め、5年前の約8倍と急増した。一方で、府内の今年1~10月の認知件数は140件(前年同期比24件減)、被害総額約2億2500万円(同1100万円減)と、減少傾向にはあるものの、過去3年ほどは高止まりの状態が続く。

こうした状況を踏まえ、府警は受け子の摘発を被害防止の足がかりにしようと対策を検討。受け子は丈のあっていないスーツを着ている▽タクシー車内で電話をかけ続ける▽地図を見続けている-といった特徴がみられるため、タクシー会社との連携を強化することにした。

11月末現在で連携するのは府内約60社(約6千台)のうち36社(約3650台)で、今後も拡大を目指す。府警特殊詐欺対策室の平山有一室長(58)は「街中にいるタクシーに協力してもらうことで抑止力にもなる。被害を防ぐとともに事件の早期解決に結びつけたい」と話している。

変わる手口 訪問型増加

昨年の全国の特殊詐欺事件の認知件数は1万3550件。ピーク時の8割を切り、被害総額もほぼ半減したが、約285億円と依然として高額だ。

特殊詐欺事件は平成14年ごろから、身内を装って電話をかける「オレオレ詐欺」が多発し、還付金詐欺や架空請求詐欺などの手口も登場。近年では、自治体や金融機関、警察職員をかたり、名目も「新型コロナウイルスワクチンの優先接種」など多岐にわたる。

現金の受け取り手段は、受け子訪問が増加。従来の振り込み型は、ATM(現金自動預払機)での引き出し限度額の設定や、金融機関職員らの声かけにより未遂に終わるケースが増えたこともあり、顕著に減少している。

手口や現金の入手方法は数年ごとにサイクルがあるといい、捜査関係者は「住民の防犯意識が高まるのにあわせて、犯罪傾向も変化する」と、新たな手口の発生を警戒している。(鈴木文也)


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