待機児童ワースト1位 住みたい街・西宮市のジレンマ

    住みたい街ランキング上位や積極的な子育て施策で知られる兵庫県南部の自治体の待機児童数が、全国的に見て多い水準で推移している。今年はワースト5位以内に西宮、明石、尼崎、姫路の4市が入り、都道府県別でも兵庫県は2年連続で東京都に次ぐワースト2位だった。専業主婦が多かったこれらの地域で、働く女性が急増したことが背景にあるとみられる。国の推計では保育所利用者数のピークは令和7年とされるが「さらに先まで、保育ニーズが伸び続けるのでは」と分析する自治体もある。

    半減してもなお

    厚生労働省によると、都道府県別の4月時点の待機児童の人数で、兵庫県は平成28年以降、ワースト5位以内で推移。ただ、ワースト2位だった今年は769人で、前年(1528人)からほぼ半減しており、県の担当者は「受け皿を拡大するなどの対策に、一定の成果はあった」と強調する。

    各市町村もそれぞれに対策を行ってはいるが、ワースト5位以内には①兵庫県西宮市(182人)②兵庫県明石市(149人)③福岡県筑紫野市(137人)④兵庫県尼崎市(118人)⑤兵庫県姫路市(98人)-と、県南部の自治体が並んだ。

    さらに、特定の施設のみを希望するなどし、国や自治体では待機児童としてカウントされない「隠れ待機児童」も少なくない。神戸市では待機児童数は過去最少の11人だったが、隠れ待機児童を含めると千人を超えている。

    働く女性が急増

    兵庫県内の待機児童が全国的にみて多い理由について、県の担当者は「明確なことは分からない」。ただ、考えられる理由として女性の年代別の労働力率が結婚・出産期(30代)に一旦低下してまた上昇し、アルファベットのMのような曲線を描く「M字カーブ」の変化を挙げる。

    結婚・出産後も仕事を続ける女性が増え、全国的にMの谷間は解消されつつあるが、兵庫県では以前、Mの谷間が特に深かった。しかし近年は兵庫県でもMの谷間が浅くなっており、その変化が全国よりも顕著だという。

    総務省が5年ごとに行う平成29年就業構造基本調査によると、兵庫県内で育児をしている女性の有業率は62・7%(全国64・2%)。5年前の前回調査と比較してすべての都道府県で増加したが、中でも兵庫県は全国で2番目に低かった前回の43・4%から最も高い伸び率(19・3ポイント増)で上昇していた。

    ただ、29年調査の数値も38番目で全国平均よりも低く、今後さらに有業率が高まる余地がありそうだ。

    「住みたい街」でも…

    こうした状況に、各自治体も対応を急いでいる。特に今年の待機児童数が全国ワースト1位の西宮市は、住宅メーカーなどによる「住みたい街ランキング」でも上位の人気エリア。西宮市の担当者は「他の地域から選んで引っ越してくれた市民もいるはずだが、子供が保育所に入れず、がっかりさせてしまっている」と反省する。


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