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「雪解け」は本物か アラブの春から10年 中東で進む和解の試み

【カイロ=佐藤貴生】2011年に始まった「アラブの春」以降、混乱が続いた中東に再び変化の波が訪れている。政治や宗教をめぐり対立してきた中東諸国の間で関係改善の動きが本格化してきたからだ。地域紛争への軍事介入などで欧米から批判され、影響力の低下や国力の消耗を招いたことへの反省もうかがえる。「雪解け」の機運は10年に及ぶ対立の収束に結びつくだろうか。

12月8日、サウジアラビアのムハンマド・ビン・サルマン皇太子(右)の訪問を歓迎するカタールのタミム首長(ロイター)
12月8日、サウジアラビアのムハンマド・ビン・サルマン皇太子(右)の訪問を歓迎するカタールのタミム首長(ロイター)

抱き合う〝昨日の敵〟

サウジアラビアの実力者、ムハンマド・ビン・サルマン皇太子は8日、ペルシャ湾岸のカタールを訪れ、出迎えた同国トップのタミム首長と抱き合った。サウジやアラブ首長国連邦(UAE)、エジプトは17年にカタールと断交し、今年1月に国交を回復したばかり。笑顔を浮かべた2人の姿は中東に広がる融和の流れを印象づけた。

11月下旬にはUAEで内政、外交に大きな影響力を持つアブダビ首長国のムハンマド皇太子が数年ぶりにトルコを訪れてエルドアン大統領と会談した。両国はリビア内戦でそれぞれ対立する陣営を支援し、無人機による代理戦争を展開した敵同士だ。だがトルコ政府高官は、UAEとの冷え込んだ関係は「過去のものになった」と強調した。

発端は原理主義

アラブの春の到来を告げた11年の反政府デモはエジプトやリビアなどの独裁政権を崩壊させる一方、新たな対立軸を生んだ。「ムスリム同胞団」の流れをくむイスラム原理主義組織が中東各国で台頭し、大きな影響力を握ったためだ。

原理主義との親和性が濃いトルコやカタールはイスラム勢力を支援し、政教一致が国是のイランとも関係を深めた。しかし、サウジアラビアとUAE、エジプトは政治と宗教の融合を拒否。世俗の権威を認めない原理主義思想は君主制のサウジやUAEと相いれず、エジプトでは世俗派の軍出身であるシーシー大統領が同胞団を徹底弾圧した。

こうした風景を一変させたのが米国の政権交代だ。


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