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イタリアが嫌いだった若き日 やがて見出した「自分の言葉」

ぼくはイタリアが嫌いだった。情熱とか暑っ苦しいのは趣味ではない。そう思っていた。それに学生のときに、フランスからイタリアにちょっと足を踏み入れた際、なんとなく汚いところに感じた。それなのにイタリアに住むことになった。

※画像はイメージです(GettyImages)
※画像はイメージです(GettyImages)

とある実業家を知り、「この人のもとで修業したい!」と思い至る。それなりの交渉の期間を経て願いを叶えることになる。イタリア西北部にあるトリノの街で生活を始めた経緯だ。

イタリアが好みではなかっただけでなく、トリノがあるフランスとスイスに接するピエモンテ州の料理はバターが多く使われ重い。しかも、トリノは装飾が多用されるバロック様式の石造りの建物が立ち並び、これまた風景が重い。人の気質も他の地方から比べると閉鎖的である。

このアルプスの山々を背にしたトリノの街に住み始めた頃、嫌で仕方がなかった。あれだけ強い願いをもっていたにも関わらず、何から何まで重いトリノが窮屈に思えたのだった。

しかしながら半年くらい経たら、トリノを、イタリアをじょじょに好きになってきた。というのも、心境の変化を自覚したのである。「深みに入りそうだ」と。きっかけが何であったかは自身で気づいた。

あの装飾的なバロック様式について、自分なりに感覚として理解しはじめたのだ。バロックは自己顕示欲の発露と思っていると重い。しかし、内に秘めた情熱がどうしようもなく外に出るしかなかった。それがあのカタチだと思い至ったとき、知識としてではなく、身体がイタリア文化に惹かれ始めたのだ。

「自分の言葉」を見いだしはじめた。


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