大学生の就職活動の早期化が止まらない。就活塾「ホワイトアカデミー」を運営する竹内健登さんは「私の塾では大学3年時の10月に、日系の大手不動産会社から内々定を得た学生が複数いる。彼らは大学1年時から就活を始めている。現在、就活の成否を分けるのは、学歴ではなく『動き出しの早さ』となっている」という−−。
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多くの企業は就活ルールを無視している
企業の新卒採用が年々早期化している。
昨年度まで、経団連は「採用選考に関する指針」(いわゆる就活ルール)を示して、広報活動や採用選考活動の「解禁日」を定めてきた。
昨年度からその指針は政府主導となっているが、日程に変更はない。
現・大学3年生が対象となる2022年度の採用活動も、広報解禁は2022年3月1日以降、選考解禁は6月1日以降となる見通しだ。
経団連、政府は「内定を出すのは、大学4年生の6月以降」というルールを要請しているわけだが、大半の企業はそれを守っていない。
リクルートの就職みらい研究所によれば、2020卒の就職活動において、最も内定が多く出た月は6月ではなく、4月(24.7%)であった。
翌年の2021卒の就職活動では、内定が出た最多月は同じく4月(24.3%)で、その次が3月(20.6%)となっている。
5月までに内定を得た学生の割合は、20卒の66.5%から、21卒は78.9%と増加している。「就活ルール」の形骸化が進んでいることがわかる。
さらに一部の企業では、4月どころか選考解禁の半年以上前に内々定を出している。
実際、私の運営している就活塾「ホワイトアカデミー」には、現・大学3年生が今年10月に日系の大手不動産会社から内々定を獲得している。それも複数名だ。例年にはない事例だ。
採用水準が以前より上がっている
この要因は、コロナ禍で多くの企業の業績が下降していることによる。
各社は採用数を絞り、少数採用の方針に切り替えた。
加えて、従来の時間をかけたOJTがしづらい時勢のため、ある程度のマニュアルや業務を教えればキャッチアップできるような即戦力になる人材を求めている。
結果、各企業は積極的に優秀な人材をいち早く見つけ、獲得する傾向が強まった。
そのために各企業が活用しているのが、インターンである。
3種類あるインターン
インターンシップには3つの種類がある。
1つめが、大学1、2年生向けの「長期インターン」だ。3カ月以上かけて職業体験する。
2つめは、3年生の夏に行われる「短期インターン(夏インターン)」である。1日や2日で業務のさわりを体感する。
3つめが、3年生の秋もしくは冬に実施される「選考直結型インターン」だ。このインターンを実施する会社が近年増加している。
企業は秋冬のインターンで優秀な結果を残した学生に対して「1次面接はスキップでいいので、ぜひ本選考を受けてみないか」と連絡する。
その後、6月の本選考より前にインターン経験者のみの面接を行い、内々定を出しているのだ。
人材会社のワンキャリアによると、以下のような名だたる企業が秋のインターンの募集を行っていた。
日本郵船(10月5日締切)
東急リバブル(10月31日締切)
ブルボン(10月31日締切)
ミルボン(10月29日締切)
豊田通商(10月8日締切)
三菱鉛筆(10月24日締切)
雪印メグミルク(10月18日締切)
富士フイルム(11月2日締切)
江崎グリコ(11月2日締切)
クラレ(11月3日締切)
日本政策金融公庫(11月12日締切)
トレンドマイクロ(11月14日締切)
(出典=インターンシップ募集一覧 就活サイトONE CAREER)