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「楽天モバイル着信問題」大手メディアはスルー、楽天も謝らなかった“本当の理由”

PRESIDENT Online

楽天モバイルのiPhoneで着信がうまくいかない障害が続いている。総務省が早期の原因究明と解消を求めているが、いまだ事態の解決には至っていない。この問題について、12月15日にいち早くプレジデントオンラインに寄稿した経営コンサルタントの鈴木貴博さんは、記事の掲載をめぐり「4つの違和感」を抱いたという--。

2021年12月22日時点の楽天モバイルトップページ。「重要なお知らせ」の下に「iPhoneをご利用の際に着信に失敗する事象について」の項目がある
2021年12月22日時点の楽天モバイルトップページ。「重要なお知らせ」の下に「iPhoneをご利用の際に着信に失敗する事象について」の項目がある

■総務省が原因究明と解消を求めた

先日公開した<「楽天モバイルのiPhoneで着信ができない」なぜ楽天モバイルはそれでも販売を続けるのか>という記事に大きな反響が寄せられています。12月15日に記事を公開した直後からわたしのところにも何件もメールが送られてきたのですが、送り主は長らくこの障害で困っていた人たちで、「よく書いてくれた」という励ましの内容でした。

12月17日には産経新聞がこの問題について「総務省が早期の原因究明と解消を求めた」と報道しています(産経新聞「楽天モバイル、iPhone利用者に不具合 総務省が原因究明を要請」)。ようやくこの問題について、マスメディアの一角が報道を始めたわけです。21日には、楽天モバイルも「iPhoneをご利用の際に着信に失敗する事象について」として、お知らせを発表しました。

この記事から読み始めた方のために、問題を簡単にまとめると、こういう話です。今年7月以降、楽天モバイルでiPhoneを購入した人の一部に、他社回線から着信しないという障害が起きています。やっかいなことに着信履歴が残らないため、障害が起きている人は自分に電話がかかってきたことに気づけません。そのため、障害が起きていることに気づいていない人が多数いると推測できます。

■記事をめぐって抱いた「4つの違和感」

この障害はランダムに起きているのですが、たまたま私が契約したiPhoneでこの症状が発生したため当事者の立場での取材ができました。障害を受けつけるコンタクトセンターでは「非常に多くの人に同じ障害が起きていて原因解明中」と言います。それなら「なぜ楽天モバイルはそれでも販売を続けるのか」と問題を投げかけたのが、前回の記事でした。

総務省が動いた後、ようやく楽天モバイルは21日、販売ページのトップページに「重要なお知らせ」としてこの事象を掲載するようになりましたが、販売自体は変わらずに今日も続いています。

さて実はこの記事の掲載と反応を巡って、私は4つの違和感を抱いてきました。今回の記事ではその違和感の正体について解説したいと思います。

1.楽天への違和感

ネット記事というものは鮮度が重要で、普通は記事を書いてから長くても48時間以内に公開するものです。ところが今回の記事に限り、編集部と話し合って2週間待つことにしました。楽天モバイルの広報に質問を送り、回答を待っていたためです。

実はその際に、「もし楽天モバイルが事実の公開に動いたらこの記事はボツですね」と編集部と確認していました。「なぜ楽天は情報を販売ページで告知せずにiPhoneを売り続けているのか?」と投げかける記事なので、楽天モバイルがメディアに向けて障害状況を報告して消費者に注意喚起をすれば、記事を発表する意義はなくなるのです。

■米国の大手IT企業は「謝らない」

結局のところ、2週間待って楽天モバイルの広報から来た返事は、ほぼほぼゼロ回答でした。どれだけの件数の障害が起きているのかは公表できない。障害と販売は関係ないと考えている。これが回答でした。一般的に企業の不祥事が発覚したときの表のマニュアルでは、即座に事実を公表して会見を開くこととされています。そうなったら私の記事は外に出ませんでした。

一方で私も経営コンサルタントなので、裏のマニュアルも知っています。私の場合、楽天モバイルのCMに出演している米倉涼子さんは元事務所の先輩ですし、文化人としての現在の所属事務所の社長は楽天出身です。つまり私を身動きできなくする方法はそれなりに存在します。でも楽天の広報は表と裏、どちらも動かなかった。これが第1の違和感です。その正体は何でしょう?

楽天モバイルのライバルのNTTグループはよく謝罪会見をします。わたしたちはそういった企業姿勢が当たり前だと思っていますが、グローバルには実はそうでもない。たとえばGAFA、つまりグーグル、アマゾン、メタ(旧フェイスブック)、アップルといったアメリカのIT企業大手は絶対と言っていいぐらい謝らない傾向があります。

■楽天は「もっと大きな問題」と戦っているのではないか

個人情報や納税回避など、かなりきわどいことをやっては裁判を抱え、EUやアメリカ政府とさえ交戦状態に入っているのが彼らの日常であって、日本風の謝罪会見など彼らの眼中にはありません。

その彼らの習性を理解するには、グーグルの「自分たちは世界政府を作る」という創業時の価値観を思い出すといいと思います。今の世の中のルールや制度のほうが間違っているのでそれと戦うのが会社の使命なのだというカルチャーです。

実は私は楽天という企業はどうしようもない失敗をすると感じることもある反面、憎めない企業だとも思っています。創業者の三木谷浩史CEOが過去30年近く頻繁にシリコンバレーに飛んでGAFAの遺伝子を受け継ごうとしている。楽天も社会を変えようと戦っている。だとしたらこの問題で、これまで楽天が謝罪も公表もなぜしなかったという違和感の正体は、「もっと大きな問題と戦っているからだ」ということかもしれません。


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