日本では「順序」が大事
- 既存の法律に居場所を作る
- 社会的な安心を作る
- 移動の効率化により新しい商圏を作る
古典的だと言ったこの3つの要素ですが、日本ではこの1から3の順序で進めることが非常に重要です。1と2の間で、さらに「既存のプレイヤーに仁義を通す」とか「巻き込んであげる」というのも大事でしょう。
しかし、海外では「3.移動の効率化により新しい商圏を作る」から一気に進めてしまうというプレイヤーも少なくありません。まずは、利便性によりビジネスを作ってしまう。そこで生まれた摩擦はそれから対応するという姿勢です。「すごく流行ってるぞ!」という状況を作ることが第一なのです。
電動キックボードも海外ではすでに数年前から大流行しています。そして各所で問題も巻き起こしていますが、その都度対応しています。
ではLUUPは今後、電動キックボードがなじみつつある海外でもシェアを獲得できるでしょうか? 残念ながら、「3.移動の効率化により新しい商圏を作る」のような急進的なプロセスであっても一度押さえられてしまったマーケットに後から乗り込むのは難しいのではないでしょうか。LUUPがトヨタのように海外にまで進出するのは厳しいかもしれません。
日本では、法的な縛りや既得権益への配慮の要求が、公だけでなく、人の心理的にも厳しい傾向があり、LUUPのシェア拡大にはこの国ならでの大変さがあると思います。しかし、今は50年に一度くらいやってくる、“大きいけれど既視感のあるインフラ転換機”でしょうから、新しい乗り物を利用したシェアリングサービスの今後にぜひみなさんも注視してみてください。
【今日から使えるロジカルシンキング】は子供向けにロジカルシンキングのスキルを身につける講座やワークショップを開講する学習塾「ロジム」の塾長・苅野進さんがビジネスパーソンのみなさんにロジカルシンキングの基本を伝える連載です。アーカイブはこちら