令和4年度予算案の焦点⑦

    防衛費大幅増、GDP比1%超も5年度への「発射台」

    防衛省は令和4年度当初予算案について、3年度補正予算と一体化した計6兆円超の「防衛力強化加速パッケージ」とした。国内総生産(GDP)比は1.1%となり、歳出抑制の目安とされる1%を平成22年度以来12年ぶりに超える。一方で研究開発の出遅れや防衛産業への支援の不十分さは否めない。来年には国家安全保障戦略(NSS)など「戦略3文書」の改定に伴う計画見直しを控え、今回の予算はあくまで「発射台」と位置付けられそうだ。

    東京都新宿区の防衛省
    東京都新宿区の防衛省

    「安全保障環境がこれまでにない速度で厳しさを増す中で、必要な防衛力を大幅に強化し、各種事業を一層加速することが重要だ」

    岸信夫防衛相は24日の記者会見で防衛費増額の意義をこう強調した。4年度当初予算案のうち装備品の新規購入に当たる物件費は、3年度補正予算と合わせて前年比約1割増。担当者は「要求した全ての主要装備品を取り切った」と胸を張る。

    一方、研究開発費は2911億円で前年比約1.4倍となった。しかし、韓国の研究開発費は年約4千億円規模で、米国に至っては7兆円規模とされる。十分とは言えない防衛産業に対する支援策も今回、初めて本格化されたが総額は約22億円に留まる。

    将来的に戦闘の様相を変え得る「ゲームチェンジャー」となる先端技術の研究開発について、ある与党議員は「複数年度にわたり柔軟な財政拠出が期待できる基金の活用が望ましい」と話すが、防衛省内では「現状では時期尚早ではないか」との認識が大勢だ。

    防衛省が来年末までに行う3文書の改定では防衛費増額も検討課題の一つだ。ある防衛相経験者は「発射台は高めでいい。ただ、5年度予算でどこまで確保できるかが本当の勝負だ」と解説した。(市岡豊大)


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