米製薬大手メルクが開発した新型コロナウイルス感染症の飲み薬「モルヌピラビル」について、厚生労働省は24日、国内での製造販売を特例承認した。新型コロナ向け飲み薬の承認は国内初。オミクロン株にも有効とみられ、自宅で手軽に使えることから、医療機関や患者の負担軽減が期待される。政府は、今年度分の60万人分を含む計160万人分を確保することでメルク側と合意しており、27日から順次、医療機関や薬局に届くようにする。
国内で承認された新型コロナ薬は、計6製品となった。
モルヌピラビルは発症早期の服用で、体内のウイルスの増殖を阻止し重症化を防ぐ効果があるとされる。
厚労省によると、対象は重症化リスクのある18歳以上の軽症、中等症の患者で、1日2回、5日間服用する。安全性の観点から妊婦の使用は認めない。入院患者には医療機関が処方し、自宅療養者は薬局などが対応する。医療機関には一定期間、患者の体調の経過観察を義務付けた。
また、厚労省は医療機関の処方箋をもとに患者宅に薬を配送するなど自宅療養患者が薬局に行かなくても入手可能な体制を地域単位で整え、対応可能な薬局をリスト化している。
メルクによると、モルヌピラビルは臨床試験で、発症5日以内の重症化リスクがある患者の入院または死亡のリスクを30%減少させる効果が確認された。
英国が11月に世界で先駆けて使用を承認し、米食品医薬品局(FDA)も今月23日に緊急使用許可を出した。
コロナの飲み薬をめぐっては、米製薬大手ファイザーの新薬についてFDAが同22日に緊急使用を許可。日本政府は200万人分の供給を受けることで同社と基本合意している。日本の塩野義製薬も最終段階の臨床試験を進めている。