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「お客様は神様」という言葉が、日本人の職場環境を地獄に変えている

PRESIDENT Online

なぜ日本人は長時間労働をやめられないのか。エグゼクティブコーチの玉本潤一さんは「日本人には『長時間労働をしている人ほどたくさんの仕事をしている』という見方がある。だが、海外からはそうした価値観が異常なものにみえる」という--。

※本稿は、玉本潤一『ステートファースト 幸せな成功者になれる「頑張り方」革命』(PHP研究所)の一部を再編集したものです。

■なぜ日本人の幸福度は低いのか

とても残念なことですが、「世界幸福度ランキング」での日本の順位はかなり低いと言わざるを得ません。

〈世界幸福度ランキングとは?〉

国連の関連団体発表。各国の国民に「どれくらい幸せと感じているか」を評価してもらった調査に加えて、GDP、健康寿命、寛大さ、社会的支援、自由度、腐敗度といった要素をもとに幸福度を計る。

トップ10:1位フィンランド、2位デンマーク、3位スイス、4位アイスランド、5位オランダ、6位ノルウェー、7位スウェーデン、8位ルクセンブルク、9位ニュージーランド、10位オーストリア

日本の順位:2015年46位、2016年53位、2017年51位、2018年54位、2019年58位、2020年62位、2021年56位

経済的にはそれなりに豊かな国である日本の幸福度順位が、その経済力に比べてかくも低いのはなぜでしょうか。

■日本は顧客側に立つと天国、サービス側に立つと地獄

その大きな理由の一つは、日本の社会が顧客側に立つと快適すぎるほど快適な反面、サービス側に立つと逆に苦しさを強いられて当然という社会通念があることだと私は考えています。「サービス側は苦しんでも、顧客に最上級のサービスを提供して当たり前」という美徳があるのです。

「お客様は神様」という言葉が、過剰に作用してしまったのではないでしょうか。

海外に出ると、日本のサービス全般のクオリティは高い、と痛感させられます。赴任したドイツのスーパー店員のお客の扱いが雑なこと雑なこと。どっちが客かわからなくなるほど、つっけんどんとした態度で話しかけてきます。

「おもてなし」という言葉に代表されるように、日本人は気遣いができ、サービスクオリティも高く、海外の人たちもそこを評価してくれています。

ただ、いくら顧客に対するサービスとはいえ、供給側のステート(感情状態)を崩してまでサービスするのは社会のバランスを欠いているように思います。最終的に供給者側も社会の一員であり、家族もいるわけで、ブーメランのようにそのひずみが返ってきます。

仮に、みなさん一人ひとりが自分の「ステート」を大事にしていて、なおかつ周囲の人々の「ステート」をも気遣える「ステート最優先」の社会であれば、「お客様は神様」といえどもそのバランスの節度はあると思います。

私は、日々幸せ、つまり「日々良いステートでいるためにはどうしたらいいか?」を、個々人が真剣かつ直接的に考える必要が出てきていると思います。

■「犠牲が多い人ほど評価に値する人」という風土

日本はステートを崩しても我慢できる人が多いからか、「ステートそっちのけ」という前提で作られた社会なのかもしれません。リモートワークが当たり前になる前の東京の毎朝の満員電車は、その最たるものです。

ビジネスでも、従業員の高いストレス耐性を前提としたビジネスモデルや組織作りになっていることが少なくありません。私がおうかがいしたある企業では、最近まで「売れるまでオフィスに帰ってくるな」という怒声が飛んでいたそうです。こうした労働環境の過酷な企業が少なからず存在します。

職場でも、「犠牲が多い人ほど、職場や組織に貢献しており、評価に値する人」という風土や考え方が根強くあるように思います。

たとえば、忙しそうな人ほど一生懸命働いている、ムスッとして笑わない人ほど真剣に仕事をしている、長時間労働をしている人ほどたくさんの仕事をしている、家族を犠牲にして土日も働いている人のほうが仕事によりコミットしている、スケジュールがびっちり詰まっている人ほど優秀……これらは、日本人独特の見方のようです。


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