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飲み薬、対コロナの「切り札」 オミクロン株にも有効か

24日に厚生労働省が販売製造を承認した米製薬大手メルクの新型コロナウイルス感染症の経口薬(飲み薬)「モルヌピラビル」は、発症初期に服用することでウイルスの増殖を抑える効果が期待されている。世界で猛威を振るい、国内で感染が確認されているオミクロン株にも有効とみられる。投与に人手や時間がかからないこともあり、ワクチンに続く対コロナの切り札になるとの期待が高い。(有年由貴子)

ウイルス増殖をブロック

モルヌピラビルは「RNAポリメラーゼ阻害剤」と呼ばれるタイプの抗ウイルス薬で、ウイルスに感染した細胞の内部で作用する。ウイルスが自身の遺伝物質であるRNA(リボ核酸)をコピーして増やす酵素「RNAポリメラーゼ」の働きを邪魔し、増殖できないようにする。

飲み薬は点滴や注射で投与する抗体医薬品と異なり、自宅で服用できるのが最大のメリットだ。新型コロナの治療薬に詳しい愛知医科大の森島恒雄客員教授は「今後は治療の最前線で広く使われていくだろう」とみている。

課題は体制の整備だ。

ウイルスの増殖を抑える抗ウイルス薬は、発症から時間がたち体内でウイルスが増えすぎてしまうと十分な効果が発揮できない。このため、ウイルスが増殖を始める発症早期に服用する必要がある。森島教授は「薬のメリットを最大限に生かすためにPCRなどの検査結果が医療機関に迅速に通知され、患者に薬が届くシステムを早く構築する必要がある」と指摘する。

厚労省によると、対象は重症化リスクのある18歳以上の軽症、中等症の患者で、入院患者には医療機関が処方し、自宅療養者は薬局などが対応する。医療機関には一定期間、患者の体調の経過観察を義務付けた。

また、厚労省は医療機関の処方箋をもとに患者宅に薬を配送するなど自宅療養患者が薬局に行かなくても入手可能な体制を地域単位で整え、対応可能な薬局をリスト化している。

オミクロン株にも有効か

変異株に対する効果も見込まれている。

世界中で感染拡大を引き起こしたデルタ株などは、細胞への感染の足掛かりにするウイルス表面のスパイクタンパク質に複数の変異が入っており、スパイクに結合する抗体医薬品やワクチン接種で作られる抗体の効果が低下する可能性がある。一方、モルヌピラビルは感染した細胞の内部で働くため、こうした変異の影響を受けにくいとされる。

スパイクに約30の変異を持つオミクロン株についても、メルクは実験で効果が認められたとしている。

薬が普及することで、その薬の効果を低下させる「耐性ウイルス」の出現も考えられるが、ウイルスに効く仕組みが異なる飲み薬が複数あれば、それにも備えられる。

米食品医薬品局(FDA)が今月22日に緊急使用許可を出した米製薬大手ファイザーの新薬は、「プロテアーゼ阻害剤」と呼ばれるタイプで、感染した細胞内でウイルスが自身のタンパク質を作るために必要な酵素「プロテアーゼ」の働きをブロックする。欧州医薬品庁(EMA)も同16日、使用を認める判断を示した。

日本の塩野義製薬が開発している新薬候補もプロテアーゼ阻害剤で、ファイザー、塩野義製薬ともに実験でオミクロン株への有効性が確認できたとしている。

国内初、コロナ飲み薬を承認 米メルク製


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