【モスクワ=小野田雄一】ロシアのプーチン大統領は23日、年末恒例の記者会見を開き、北大西洋条約機構(NATO)がさらなる東方拡大をしないよう米国とNATOに確約を要求していることをめぐり、「ボールはNATO側にある。即座に(ロシアの安全を)保証せねばならない」と述べ、対応を迫った。
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ロシア側はNATOの東方不拡大など自国の安全保障に関し、米国とNATOに条約などを締結するよう要求しており、それぞれと来年1月初めに交渉が始まる見通しだとしている。
プーチン氏は会見で、米国やNATOが交渉に応じる姿勢を見せているとし、「肯定的な反応だ」と語った。一方で、東西冷戦終結後に東欧諸国がNATOに加盟し、ポーランドやバルト三国などにNATOの部隊が駐留している状況を踏まえ、NATOがロシアを「だました」と一方的に非難した。
ロシアはウクライナ国境付近で兵力を増強し、欧米は露軍によるウクライナ侵攻を警戒しているが、露専門家の間では、緊張を高めてNATO側を交渉に引き込むプーチン政権の戦略の一環との見方も強い。
プーチン氏は会見でウクライナへの対応について、「交渉とは無関係」とする一方、「ロシアの行動は自国の安全保障にのみ左右される」と述べ、露側の要求を受け入れるよう圧力をかけた。