長引く新型コロナウイルス禍や施設の老朽化などで、地方自治体や地方団体が運営する東京への上京者向け宿泊施設の閉鎖が相次いでいる。島根県運営のホテル「島根イン青山」(東京都港区)が27日、34年の歴史に幕を閉じた。今年9月末には富山県が運営する「富山県赤坂会館」(同)も閉館しており、後を追う形になった。
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島根イン青山は昭和62年8月に開業。県民対象の宿泊料の安さなどから、上京するビジネスマンなどに親しまれたが、コロナ禍で昨年度の宿泊者は約5千人と前年度から半減していた。施設の老朽化で大規模な修繕費用も見込まれたことから閉館に至った。
閉館日の27日は16組が利用、午後3時のレストラン営業終了をもって幕が下りた。総支配人の木原貴寿さんは「閉館1カ月前から思い出を持つお客さんの宿泊が増えた。愛されてきたのだなと思う」と感慨深げ。故郷の香りが漂う宿の退潮に「残っていたうちが閉館するのは残念だが、時代の移り変わりですね」と話した。