――今年は創業140周年だった
「新型コロナウイルスで始まり、コロナで終わる1年だ。コロナ前は、インバウンド(訪日外国人)需要の拡大で、東京・銀座の(店舗で)時計が売れていたが、それがゴーストタウンになり、サステナブル(持続可能)な視点を持つことの大切さを思い知った。そのため、会社のパーパス(存在意義)や10年ビジョンを策定した。今年は自分たちの事業を見直す良い機会になった」
――コロナの影響もあり、今年度が最終年度の3カ年の中期経営計画は未達になりそうだが
「個人向けの時計事業が直撃した。売上高の約半分は時計事業が占めるため、目標は未達になりそうだ。ただ、電子デバイス事業とシステムソリューション事業の目標は、半導体やデジタル需要が旺盛で達成する見通しだ。経営を安定させるため、将来的に時計の一本足打法から脱却し、事業規模を均等にして〝三本足〟にしたい」
――コロナ禍が続くが、来年の見通しは
「先を見通すのは、コロナの感染状況を予測することと同じことなので難しい。ただ、希望的観測として、年後半にコロナが収束してほしい。収束できなくとも、『ウィズコロナ』で、外で買い物ができる経済状況を期待したい」
――注力したいことは
「これまでは技術をベースにイノベーションが生み出されてきたが、今は市場が起点のビジネスモデルを構築することに変化している。他社が入り込めない競争優位なビジネスモデルを作るために人材育成を強化したい」(黄金崎元、写真も)