戦国・織豊時代は奴隷の時代…涙なしでは語れない日本人・朝鮮人奴隷のエピソード3選

豊臣秀吉はイエズス会の日本支部準管区長と日本人奴隷をめぐって口論になったことも※画像はイメージです(sankeiBiz編集部)
豊臣秀吉はイエズス会の日本支部準管区長と日本人奴隷をめぐって口論になったことも※画像はイメージです(sankeiBiz編集部)

戦国・織豊時代と言えば、すっかりワールド・ワイドな時代になっていた。それは物資の輸出入だけではなく、人々の往来をも意味するが、決して良い話だけではなかったのも事実である。たとえば、ポルトガル人商人は日本人奴隷を購入し、帰国する途中の港で転売していった。また、文禄・慶長の役の際、日本軍は朝鮮人を捕らえて奴隷とした。今回は、日本人・朝鮮人奴隷のエピソードを紹介することにしよう。

【その1】九州における日本人奴隷の実態

天正14年(1586)、薩摩・島津氏は大友氏を血祭りにあげるべく、豊後に攻め込んだ。このとき、捕らえられて奴隷になったのが、普通の人々だった。フロイスは『日本史』の中で、その惨状を次のように記している。

「薩摩の兵が豊後で捕らえた人々の一部は、肥後へ売られていった。ところが、その年の肥後の住民は飢饉に苦しめられ、生活すらままならなかった。したがって、豊後の人々を買って養うことは、もちろん不可能であった。それゆえ買った豊後の人々を羊や牛のごとく、高来(長崎県諫早市)に運んで売った。このように三会・島原(以上、長崎県島原市)では、40人くらいがまとめて売られることもあった。豊後の女・子供は、二束三文で売られ、しかもその数は実に多かった」

薩摩の雑兵は、捕らえた豊後の人々を肥後で売ろうとしたが、それが飢饉により困難と知るや、今度は現在の長崎県へ行って売買した。かなりの数であったことが判明する。

この話が事実であることは、島津家の家臣・上井覚兼(うわい かくけん)の日記『上井覚兼日記』天正14年7月12日条に「路次すがら、疵を負った人に会った。そのほか濫妨(らんぼう)人などが女・子供を数十人引き連れ帰ってくるので、道も混雑していた」と記されている。

島津領内には、戦いで負傷した兵卒たちも帰還したが、濫妨人は戦利品として豊後から奴隷として女・子供をたくさん引き連れ、道が混雑していたというのである。その数は、相当なものになっていたのであろう。

【その2】日本人奴隷をめぐる豊臣秀吉とイエズス会の口論

天正16年(1588)6月、豊臣秀吉はイエズス会の日本支部準管区長を務めるガスパール・コエリョと日本人奴隷をめぐって口論になった(『イエズス会日本年報』下)。次に、お互いの主張を挙げておこう。

秀吉「ポルトガル人が多数の日本人を買い、その国(ポルトガル)に連れて行くのは何故であるか」

コエリョ「ポルトガル人が日本人を買うのは、日本人が売るからであって、パードレ(司祭職にある者)たちはこれを大いに悲しみ、防止するためにできるだけ尽力したが、力が及ばなかった。各地の領主その他の異教徒がこれを売るので、殿下(秀吉)が望まれるならば、領主に日本人を売ることを止めるように命じ、これに背く者を重刑に処すならば容易に停止することができるであろう」

秀吉が見た光景は、日本人が奴隷としてポルトガル商人に買われ、次々と船に載せられる光景だった。驚いた秀吉は、早速コエリョを詰問したのである。コエリョが実際にどう思ったのかはわからないが、答えは苦し紛れのものであった。

しかも、コエリョは日本人奴隷が売買される原因を異教徒の日本人に求めており、売る者が悪いと主張しているのだ。もちろん、買う方のポルトガル人商人も悪いのだが、話をうまくすり替えているのである。

日本人が売られる様子を生々しく記しているのが、秀吉の右筆・大村由己(ゆうこ)の手になる『九州動座記』の次の記述である。

「日本人を数百人男女を問わず南蛮船が買い取り、手足に鎖を付けて船底に追い入れた。地獄の呵責よりもひどい。そのうえ牛馬を買い取り、生きながら皮を剥ぎ、坊主も弟子も手を使って食し、親子兄弟も無礼の儀、畜生道の様子が眼前に広がっている。近くの日本人はいずれもその様子を学び、子を売り親を売り妻女を売るとのことを耳にした。キリスト教を許容すれば、たちまち日本が外道の法になってしまうことを心配する」

この前段において、秀吉はキリスト教が広まっていく様子や南蛮貿易の隆盛について感想を述べている。そして、人身売買が盛行していることを危惧しており、同時に彼らの生活習慣(肉食など)は奇異に映っていた。

秀吉は日本人が奴隷としてポルトガル商人により売買され、家畜のように扱われていることに激怒した。奴隷たちは、すっかり人間性すら失っていたのである。秀吉は、同胞の悲惨な現実を見逃すことができなかった。

それどころか、近くの日本人はその様子から学んで、子、親、妻女すらも売りに来るありさまである。秀吉は、その大きな要因をキリスト教の布教に求めたのである。

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