原発は「グリーン」産業 欧州委がリスト認定方針 投資呼び込みに弾み

    【パリ=三井美奈】欧州連合(EU)欧州委員会は1日、地球温暖化対策に貢献する事業として、原子力発電を認定する方針を発表した。EUが独自に作る環境産業のリストに加えるよう、加盟国に提案した。実現すれば、原発開発への投資に大きな弾みがつく。

    欧州連合(EU)本部=ベルギー・ブリュッセル(ロイター)
    欧州連合(EU)本部=ベルギー・ブリュッセル(ロイター)

    EUは、2050年までの温室効果ガス排出量「実質ゼロ化」を目指しており、目標達成に合致する経済活動を「EUタクソノミー(分類)」という制度でリスト化している。環境産業にお墨付きを与えることで投資を促す狙いがあり、EUの「グリーン・リスト」と呼ばれる。

    欧州委は1日の発表で、原子力発電と天然ガスについて、「再生可能エネルギーを基盤とする将来に向け、移行を促す手段」だと位置付けた。リスト認定では、期間設定などの条件を課す可能性にも触れた。ロイター通信によると、新規原発は、2045年までに建設が認可されたものを対象にする方針という。

    EUでは、原発の温室効果ガス削減効果に注目が集まる一方、核廃棄物や事故被害の環境への影響を懸念する声も強く、グリーン・リスト認定をめぐって是非論が二分している。原発開発を進めるフランスやフィンランド、ポーランドなど東欧諸国は「温暖化対策とエネルギーの安定供給には不可欠」として、リスト認定を要求。一方、ドイツ、オーストリア、デンマークなど脱原発派は反対を表明していた。

    リストについては欧州委の今回の方針を受けて、EU加盟国で作る理事会、欧州議会が審議する。


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