粘り強く続ける力の養い方
例えばiPhone、例えばシンガポールのマリーナベイサンズ。私たちを感動させる情報端末と建造物である両者は、当然のことながら、最初にあったのはアイデアや設計図だけです。それがiPhoneという製品として世界中に流通するには、観光名所として世界中の人たちを惹きつけるホテル&カジノリゾートとなるには、アイデアや設計図で終わることなく、とてつもない手間のかかる「実行」があってのことです。
革新的なことを成し遂げるには、ブレることなく、粘り強く続けることが不可欠です。それには「これを実現したい」というビジョン、やる気、何より実現するために時間と心身をそこに集中させること(フォーカス)が必須です。
シーリグ教授は、長年の観察から、イノベーションから起業家精神の段階への移行に成功した人たちには共通のパターンがあることに気づきました。それは、彼らは充分に大胆でありながら目標を達成できる着実な「歩幅」を知っているということです。最初は小さく小刻みな歩幅から始まり、経験を積むほどその歩幅は大きくなり、成果も大きくなる。起業家として知識が増え、資源が蓄積され、自信がついて器が大きくなると、その器に見合った大きな目標を掲げられるようになるのです。
私たちは、小さなステップを積み重ねていくことでメンタルをも鍛えることができます。達成できるという自信を身につけ(「処理可能感」と言います)、もうひと踏ん張りする力がつきます。
大概の場合、最も面白いアイデアは「もうアイデアは出尽くした」と思った後に出てきます。他の人ならばやめてしまうところで満足せず、それ以上の成果を追い求める姿勢は「不屈の精神(grit、グリット)」と呼ばれます。